「彩音」

「美咲」

「……あやね」

「……みさき」

 名前を呼ぶ。

「あやね……」

「みさき……」

 世界で一番大切で、大好きな相手の名前を。

 相手への想いが溢れすぎて涙が止まることはない。止まるはずない。この涙はあたしの、ううん、あたしたちのお互いに対する想いなんだから。

 いくらでも胸の内から【愛】が溢れてくる。

 強く、強く相手のことを抱きしめて体温を感じて、胸の鼓動がとても優しく伝わってくる。ドクン、ドクンと大切な人がそこにいるっていう証が聞こえてくる。

 この胸の鼓動も、熱も、長い髪も、切ない声も、あたしを抱きしめてくれる腕も、優しい匂いも、美咲のすべてがこの世のなによりも愛おしい。

 それは美咲も一緒だって思う。美咲もあたしを何よりも愛しく感じて、あたしのすべてを大切に想ってくれてる。

 どれくらい抱き合ってただろう。

 いつのまにかあたしたちはお互いの顔を見詰め合っていた。涙に濡れた大切な人の顔を。

 そして、あたしたちはゆっくりと目を閉じる。

 背中に回していた手を指と指を絡ませて繋ぎ、空いた手で相手の体を支える。

 そのままあたしたちはどちらともなく距離を縮めていく。そうすることが自然かのように、ううんきっと自然なんだ。大切な人を想う気持ちが体を動かしてる。

 そして……

「は、ん……」

 唇を重ねた。

(……美咲の唇、すごく柔らかい……)

 それに

(……しょっぱい)

 生まれて始めて唇を重ねるキスをして、そんなことを思った。涙で濡れすぎた美咲の唇は少し塩辛かった。

(ふふ……)

 ファーストキスの味としては夢のない味かもしれないけど、あたしたちにはなによりも愛しい味だ。

「ふ、ぁ……」

 唇を離して、二人とも感触を確かめるかのように指先を自分の唇に当てる。

 キス、しちゃったよ。美咲と……初めて唇と唇で……キス。

「ふ」

 その後にお互いに顔を見つめあったら、何だか薄く笑ってしまった。

 繋いでいた手にもっと想いを込めると、あたしたちはまた距離を縮めていった。

「ん、ちゅ……はむ…ちゅく」

 今度は唇を重ねたあと、恐る恐る相手の口内に舌を伸ばしていく。

「くちゅ、ちゅぷ…あん、ふぅ…はあ…」

 美咲の、舌……柔らかくて、熱くて……あたしの中に入ってくる。あたしの舌とこすれあってすごくドキドキしてくる。

「ん、っく…ぴちゃ…クチュ、ちゅ……」

 舌を少しずつから絡めあわせていって、それが次第に熱を帯びてくる。

『ちゅ! ん、ふぅ…はぁ、ピチュ……』

 唇を重ねあったままあたしたちは、思うがままに舌を相手に這わせて、想いを伝えて、伝えられて……

「んっく、はっ、あ……ん、くちゅ」

「ぅ…ひあ……はぅ…あぁ…はあ…」

 二人だけの世界で、長い長いキスを交わす。息をするのも忘れて。

 蕩けていく。キスしてるところから、美咲があたしの中に入ってきてあたしの体の全部を埋め尽くしてとけあっていく。

 すごく、暖かくて、嬉しい。美咲があたしの中で大きくなっていくのがまるで美咲と一つになっていくかのような感覚が。

「っはぁ、はぁ……美咲」

「っん、ふ、は……彩音」

 キスを終えるとまた見つめ合う。

 言葉は、いらない。

 あたしは、美咲の、美咲はあたしの制服のスカーフに手を伸ばしてするりと取り去ると、胸元を広げた。

 体は若干桃色に染まっていて、毎日見ている相手なのに信じられないくらいに魅力的に感じる。

 また軽くキスをするとまず美咲があたしの制服に手をかけて、あっさりと脱がす。

 パサっと、美咲が無造作にベッドにおいて今度はあたしが美咲の制服に手を伸ばすと同じように美咲を脱がせた。

「ふふ、彩音かわいい」

「美咲こそ、綺麗」

 どこまでも自分の気持ちに正直になれた。

 ブラだけ上半身の姿でベッドの座って、今まで意識して見ることのなかった姿を目に焼き付ける。

「ふあ…」

 またどちらともなく相手に手を伸ばして抱き合った。

 素肌と素肌が触れ合ってる分、直に熱が伝わってくる。優しい熱、大好きなぬくもりと鼓動。

「はむ、チュ……」

 あたしは、体の位置を少しずらして美咲の首筋にキスをした。

「ちゅぅぅ…ぴちゅ…はぁ、あは…ん」

 すべすべして、二人の想いが溶け出したみたいにとても甘い。

「はぁ、あ…彩音……はあ」

 あたしを抱く美咲はあたしがしやすいように軽く頭を抱えるようにしてあたしに身を預けてきた。

「はむ…ちゅぱ…んん、ふぅ」

「ん…あ、はぅ……ああ、ん」

「はん、みさ、き…ちゅ…」

「あやね……はぁ…好き……はああ」

「うん…ちゅ、く、あたしも…ちゅ」

 いつのまにかキスの場所を首から鎖骨周辺に変えても美咲は抵抗なんかするわけもなくあたしの愛撫に甘い声を上げる。

「ちゅ、ちゅ…ぺろ……ん?」

 鎖骨のくぼみを丹念にせめていたら美咲が急にあたしを離した。

「彩音、ばっかりずるいわよ。私だって、彩音にしてあげたいんだから」

「ん、わかった」

 あたしが黙って体を差し出すように、ちょこんとベッドに座ると美咲がよくわからないことを言ってくる。

「彩音、後ろ向いて」

「ん? 何で?」

「いいから」

「もう〜、何する気〜」

 口では不満げにしながらもあたしは美咲の言うとおりに美咲に背中を向けた。

「んっ、しょっと」

 むにゅ。

 何か、柔らかくて暖かいものを押し付けられた。

(美咲の、胸……)

 だね。わざわざあたしから見える位置にブラをポトリと落とした。

 ぷにってしてるな。

 美咲の胸に触ったことはあっても、こんな風に直に押し付けられたことなんてないから新鮮な感じ。

「ん〜、ちゅ、ちゅう」

「んは、美咲……」

 美咲は後ろからあたしの首筋に舌を這わせて、左手をお腹にやって支えて、右手は……

「はあ、あ、……ああ…んん…」

 あたしの胸をまさぐっていた。

「ん、は、あぁああ、ん…はあ…」

 むにゅ、ちゅ、ぱ、ぺろ、ちゅぅう、くにくに。

 背中越しに美咲の柔らかな胸を感じて、お腹をくすぐるように撫でられて、胸を優しく揉まれて、首筋には愛しむような口づけ。

「んん…は…みさき…ん」

 初めてされる感覚に体が翻弄されていく、頭の中が美咲に染め上げられてこんな恥ずかしいことされてるのに怖いや恥ずかしいどころか、心地いいって思えてくる。

 自然とあたしも手をお腹にある美咲の手に添えた。

「くちゅ、ぱ。彩音のくせに、そんな可愛い声だすなんて……生意気。……もっと、聴かせて」

「あ、ちょ、ちょっと美咲……」

「ん、人のってちょっと外しづらいわね。よし」

「あ……」

 ブラを取り去られた……

「かわい、触ってあげる」

「あ、美咲……あ、ひぁ…ん、んはあ」

「ふふ、彩音固くなってる……やらし」

「あっは、ん…ど、どっちが、つ、つままないでよ」

「ほらほら、いい声で鳴きなさいよ」

「ぁん、ちょ、触りかた……えろすぎ、はあ…んん、ふぁは…」

 優しく胸をせめるかと思えば、形が変わっちゃうくらい強くしたり、ピンクの突起をさすったりつまんだり。

 その一つ一つがあたしを淫らに揺さぶって、はしたない声を溢れさせられる。

「ん〜、じゅる…ちゅぅ。ほら、気持ちいいなら、いいって言いなさいよ」

「ひゃ!? っあ…ん、そ、んなこと、いえるか、っての…ぅは…ああ」

 不意をつかれてへそのくすぐられてまた情けない声を上げさせられるけど、美咲の言うとおりなんかしてたまるか。

「こんな時まで強情なんだから、彩音ってば。もぅ……素直になってよ……」

 ぎゅむ。

 急に美咲の攻めがやんで、さっきまで触れる程度だった胸をぎゅーっと押し付けられた。

「み、さき?」

 あたしは雰囲気が変わったことはすぐに察したけど、その意図までわからなくて体をひねって美咲を確認しようとしてみたけど美咲の両手があたしの胸、心臓の鼓動を感じる場所に当ててきた。

「…………」

 当ててるだけで一切動かさない。ただ、感じてる。

「……彩音の音が聞こえる。ドクン、ドクンって……すごく強く。彩音はあたしの音聞こえる?」

 その言葉に導かれるようにあたしは目を閉じて背中から伝わってくる美咲の鼓動に耳を、いや体を澄ませた。

 ドクン、ドクン。

「聞こえる、美咲の音、感じる。優しくて、あったかい」

「うん。大好きな彩音が私の腕の中にいるって証が聞こえる。ずっと聞いてたい……」

 あたしは、右手をあたしの胸にある美咲の手に重ねた。

「なんか、あたしと美咲の鼓動が重なってる気がする」

「……そうね。まるで、彩音と一つになってるみたい」

 ドクン、ドクン、ドクン。

 伝わってくる、美咲のとっても切なくて、だけど聞いてるだけで幸せに包まれる音。ずっと聞いていたい。

「彩音……」

「ん、美咲」

 美咲が胸にあった手をからめてきて、あたしもその手を心までも繋げるようにとった。

 そして、ゆっくり振り向くと

「ちゅ…」

 ためらうことなく口づけを交わした。

「じゅぷ、ちゅぅ…、ひぁあ、はあー」

「んっく、ぢゅぷ…んく、ごく」

 舌をからませあいながらどちらともなく、唾液を相手に流し込んでされたほうも嫌がることなく大切な相手からの行為を当たり前に受け入れる。

「んっく…はあ…ああ、美咲」

「んん…ふああ、彩音……ん」

 キスを終えて唇を離していくとその余韻が光る糸のように二人の間に垂れていった。

 ぴと

 それが切れて、美咲の体にいやらしくつくとあたしは躊躇なくそこに口づけをした。

「ぺろ、ちゅう…」

 あたしたちの唾液が混ざって、甘くて、とろける味。おいし。

「は、ひゃん!!?」

 目を閉じて美咲とあたしの味を楽しんでいたら、いきなり美咲の指があたしのショーツに触れてきた。

 小さな水音と一緒に冷たい触感がアソコに触れてびくっと震える。

「彩音、濡れてるわよ。ほんと、彩音っていやらしいのね」

「こ、これは……つか……」

 美咲に翻弄されるのが面白くなくてあたしも美咲の下半身に手を伸ばした。

 ぬちゃ、

 そこはもう少し触っただけで明らかなほどに湿っていて、触るだけで淫猥な音を立てる。

「美咲だって、濡れてんじゃん。人のことやらしいとかいわないでよ」

「好きな人とこんなことしてるのよ。こうなったっておかしくないでしょ」

 あたしはやらしくて、自分は自然っていうんかい。

「もぅっ!」

 あたしはちょっとムカッとして美咲を押し倒した。

「きゃん!? あや、ふぐっ!?」

 文句を言わせる暇もなしに強引に唇を奪った。

「ちゅく…あむう、ちゅぷ」

 胸を重ねながらニュルっと美咲の中を好き勝手に攻めていく。

 美咲の暖かで弾力のある舌があたしを追い返そうとするけど、力任せに美咲の口蓋を舐めていく。

「じゅぶ、ちゅぷ……じゅ、く、はああ、あぁあ」

「あむ…はああ、ふ、…ちゅ。どう? 美咲、自分がやらしいって認めた?」

 美咲の顔はさくら饅頭みたいに頬をピンクに染めて、はぁはぁと荒い息を吐くのが可愛い。

「はあ、ああ、だから、これは自然なの。ふん」

「みゃっ!?」

「彩音こそ、さっきより濡れてるし。それに……」

「ひぁ!? あ、ああぁん…み、美咲……」

「ショーツの上からでもわかるくらいに固くしちゃって、とんだ変態さんね」

 美咲の指があたしの……く、クリをショーツの上から擦って……そうされるとびりびりってつま先から頭のてっぺんまで突き抜ける刺激が駆け巡る。

「彩音はこれが弱そうな気がしてたのよねー。やっぱり……直接してあげる」

「あ、ンッ! みさきぃ…はああ、ああぁん」

 恥ずかしいとは思う。だけど、そんなの美咲からされる心地いい、嬉しい刺激にかき消されて頭が快感に染め上げられていく。

「こっちのほうは……」

 ショーツの下にもぐりこんでた美咲の指が、肉芽を摩るのはやめないまま中指が除々に下へすべってきて……穴に…

「んっ!」

 入るか入らないかのところであたしは未知の感覚に身を強張らせた。

「彩音……いや?」

 あたしの下になってる美咲が少し不安そうな顔で聞いてくる。

「美咲から、されるのに…やなことなんてないけど、……やっぱちょっと怖い、かも」

 嫌じゃない、美咲からされるんだから怖くもないって頭じゃ思うけど、本能的に体が動いた。

「わかった。……じゃ……」

 美咲が優しくショーツに手をかけてくると心が一つになってるあたしは以心伝心で何をしようとしてるのか察して、脱がせやすいように体を動かして、美咲が脱がし終えると今度はあたしも美咲のショーツに手をかけてするりって取り去った。

『ちゅ……』

 一糸纏わぬ姿になったあたしたちは、軽くキスをすると相手足の間に片足を入り込ませて……

「彩音、一緒に、感じよ……」

「……うん、美咲」

 くちゅ。

 ソコとソコがキスをするとあたしたちはためらわずに腰を動かしだした。

 くちゅ、じゅくにっちゅ…ぐチュ…

「ふぁあ…これ、…すご…ん…はああ、ぁああ」

「う、ん、……あっ! ぅは……ああ、はぅ…あ」

 アソコから艶かしい音が肌に響いていって、そこからもたらされる官能の嵐にあたしたちは悩ましい声を上げる。

「はあ、んんっ…あはあ、ひぁあ」

「ん、いい、彩音、んはぁあ、もっ、と」

「う、ん……ふああ、ひゃぅ…ああぁ」

 お互いに相手のことを感じさせるために腰を動かして、どんどん喘ぎ声が大きくなってくる。

 もう、美咲のこと以外、何も考えられない……もっと美咲のことを感じたい、もっと美咲にあたしのことを感じてほしい。

 それだけしか考えられないまま、段々動きが激しくなってくる。

「ぅ、ん……気持ち、いぃ…いい、はぁっ、はぁもっと、あや、ね……んっ」

「あたし、も…はあ、うん…すごぃ…いい、あっ、あっ…はあ、ああぁ」

 頭の中で何かがどんどん広がっていって、それが時折花火みたいな爆発を起こす。

「あふ……ふぁあ…んっ、私、…んっ、はああ、彩音、あやねっ…あやねぇ」

「はぁん、美咲、みさき、みさきぃ…ぅっく…ぁ、んっ、あああぁあ」

 官能の爆発の規模と間隔が短くなっていって……

「わ、たし…はあ、んっ、もぅ…いっく…イク…」

「あた、し…んっあたし、もっ、いき、そ…ああ」

「あやねっ! す、き…好き、いっしょ…、一緒に…ずっと、いっしょ、に……」

「うっん、みさき……好き、一緒、はああ、いっしょ、に……はあああぁあん」

 二人とも余裕がなくなって、声が切羽詰った感じになって、いつのまにか……二人とも勝手に涙があふれ出てきた。

「いく、っは…ああ、イクっ…、あやね、あやね!」

「うん、あたし、も…はああ、くる、イク、みさ、き…はああ」

 花火が爆発しっぱなしでもう、頭が真っ白な閃光で埋め尽くされているのにあたしたちは名前を呼び合って手探りに手を探し当てて、決して離さないとばかりにぎゅーーっと指を絡ませた。

 そして

『ああ、いっく……ふあああ、はあ、ああん、あぁあああっ!!』

 同じような喘ぎ声を叫んで、ぐたーとベッドの上に倒れた。

「っは、は、はぁあ、はぁ……は、あ」

「ハァハァ…っ、ふ、あ、…はあ……」

 余韻に浸る間もなく軽く息を整えあうと

「みさき……」

「あやね……」

 体を起こして、

「ちゅ、んぅう…ふあ」

 相手を抱きながらまた濃厚なキスを交わした。

「ん、はぁ……彩音」

「はぁ、…は…美咲」

 快感の波が少しずつ収まっていくとあたしたちは手を繋ぎあって、ベッドに横になった。

「…………」

 美咲の耽美な顔が目の前にある。綺麗とか、そんなの関係なく美咲があたしの目の前にいてくれるということがあたしの胸を暖かくしてくれる。

「ふふ、……」

 大切な相手を見つめるだけだったあたしたちだったけど、急に美咲がからかうような笑いをした。

「どったの?」

「ん、にしても彩音が私のことこんな目で見てたなんてって思って」

「っ!? べ、別に、そんなんじゃ……って、てか、美咲が……先にしてきたんじゃん」

「は、始めにキスしてきたのは、彩音でしょ」

「ん、んなことないって美咲じゃん。先にしてきたのは」

「彩音」

「美咲」

「彩音よ」

「美咲だって」

「むー」

「うー」

「……ふふ…」

「あは、ははは」

 相手に不満を漏らすようにうなかったかと思えば、すぐに一転して笑い合って見つめる。

「…………」

(……やだな……すぐ美咲の顔が歪んでくる)

 大好きなのに、ずっと見つめていたのに……見つめているとすぐに世界が滲む。

「み、さき……」

「あやね……」

 声も、震える。

 ぎゅ!

 大好きな相手が涙にかき消される中でも確かにつながってる証に力を込める。

 もう見てるだけじゃ耐えられない。

 触っていたい、手を繋いでいたい。抱きしめていたい。

 ずっと、ずっと、ずっと……

「んむ…ちゅ、美咲」

「はぁ、はむ…彩音」

 あたしたちは同じ想いを抱きながらまたキスを交わした。

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