雨が降る。激しく冷たい雫が体を打ち付ける。ものの数分で体を冷えて、あれほど冷たかった、浴びるだけで心に寂しさと小さな恐怖をもたらした雨がいつのまにか気にならなくなってしまった。体が冷たくて、心が冷たくて何もわからなくなってくる。足が震えて支えを求め、手を伸ばしてもそれは虚しく空を切るだけ。

 震えながら私は立ち尽くし、不幸に浸り幸せを得る。

時折強い風が吹きつける。するとびしょ濡れになった衣服が体に張り付き、体温と一緒に心の中の何かが奪われていくような感じに自然と涙が出た。

 雨と風にぬくもりを奪われ、心をすり減らされ、体から震えがおさまることはない。それでも私はそこに立ち尽くす。

 助けてという声も、声なき求めもすべてこの暴風雨にかき消される。……それでいい。それがいい。

 ここにいるのは私だけ。誰も気づいてくれないから私だけ。助けを求める声は誰にも届かない。

 このまま立ち尽くしたらどうなるのだろうか。どうなってしまうのだろうか。そんな考えを抱きながらは私はいつまでもそこから離れることが出来なかった。

 

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 これも、いつかやれたらな、と。と思ったけどよく考えるとこれはあんまり関係ないかも。一部分として、ですね。

 

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