「………………」

 ゆめがあたしのことを睨んでる。

 それは意外によくあることで、普段は睨まれても可愛いなぁくらいにしか思わないことが多い。

 それがまたゆめのご不興を買うようで余計に不機嫌になったりもするけどそれはそれで面白いからむしろゆめににらまれて困ることのほうが少ないんだけど………

 今回はさすがに落ち込んでた。

 なんでかっていうと、少し前にさかのぼる。

 

 

 ゆめが風邪を引いたということなので当然のお見舞いに来てあげたあたし。

 お見舞いの品として、ゆめの好きなアイスを買って来て一緒に食べたりして最初は、仲睦まじく過ごしてた。

 いつもならそれで適当に話をして、適度なところで切り上げて帰るわけところなんだけど、今日はついでに家にあったあるものも持ってきてた。

 これが問題になっちゃうわけなんだけど。

「そうだ、ゆめ。今日は薬も持ってきてあげたよ」

「……風邪薬なら飲んだ」

「じゃなくて、塗るやつ」

「?」

 ゆめはピンと来てないらしい。まぁ、別にそれがどうしたってわけじゃないけど。

「ほら、とりあえず脱いで」

 って言いながらあたしはゆめのパジャマのボタンに手をかけて

 パシン

 その手をたたかれた。

「え? なんで叩くん?」

「……なんで脱がそうとするの」

「いや、だから、薬塗ってあげようとしたんだけど……?」

「……それが何で脱がせるの」

「へ? えーと……ほら、これ塗る風邪薬ってやつ」

 あたしは取り出した容器を持って、ゆめに商品名が見えるように見せてあげた。

「……そんなの知らない。……私は風邪引いてつらいのに、嘘ついてまでエッチなことしようとするなんてひどい」

「え? いや、……あのー。こ、これほんとに普通に市販されてるやつ、だよ?」

 そういうのがあるって知らなかったとしてもこの反応されるのって辛いっていうか……

(……いったいあたしはどんな人間に思われてるんだ……)

 こんなわけで落ち込んでる。

 あたしだって、こういう薬があるんだって最近まで知らなかったしゆめが知らないっていうのは別に文句言うつもりはないよ? けど、知らなかったとしても

(エッチなことをするために嘘をついてるってのはどういうことだ)

 あたしがそんなことする人間に見られてるの? 今までゆめにそんなことしてきたことなんてないでしょ。

 そりゃ確かに寝てるゆめにちょっといたずらしたりとかはあるけど、いくらなんでもこれはひどくない。

「……はぁ」

 十二分に落ち込ませてもらったけど、名誉を傷つけられたまま終わるわけにも行かなくてあたしはケータイでその商品の公式サイトを表示させるとゆめにそれを見せた。

「で、わかってもらえましたか?」

 ゆめはしばらくそれを見ると、いつの間にか固まってた。

「…………こんなの、嘘」

 それから負け惜しみのようにつぶやく。

「……彩音が私をだますために作ったに決まってる」

 ここまで往生際の悪い子も珍しい。ただ、顔は風邪のせいじゃなくて真っ赤になって潤んだ瞳が色っぽい。

「で、そろそろ脱いでもらっていい?」

 あたしは謝罪を要求する代わりに笑顔でそう言った。

(まさか断れるわけないよね)

「っ……」

 ゆめはバツの悪そうにあたしから顔をそむける。

 それから、おずおずとパジャマのボタンに手を伸ばす。

(あれ? これは思ったより……)

 恥ずかしがりながら小学生にも見える恋人がパジャマのボタンをはずしていく姿。

 さらには、自分でパジャマを肌蹴させていくところなんか

(……これ言うとまずいな)

 今思ってることを口にするとまたゆめに体目的とかあらぬ疑いをかけられちゃうここは冷静に……

「………好きに、しろ」

 真っ赤な顔を背けながら半裸をさらけ出すゆめ。

 れ、冷静に………

 パサ

 と、パジャマがベッドに落ちる。

(……あ、無理だわ)

 あたしは別に脱ぐ必要まではないっていう突っ込みとか、用法用量を守ってなんていう注意を無視して両手いっぱいに薬をつけるとゆめをベッドに押し倒して、抵抗できないゆめの体を堪能しちゃうのだった。

 

 

 ……すみませんあほでw 実は私も最近ヴェポラッ○のことを知ったので衝動的にかいてしまいました。ちなみに基本的に健全なサイトなので特に続きはありません。というか彩音ちゃんは決して変態さんじゃないので変なことなどするわけはありません。

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