飴。

 改めて思いますけど、飴っていいものだと思うのです。

 まず、単純に嗜好品として価値があります。甘いのや、しょっぱいの、中には辛いもの、世界で一番まずい飴なんていうのもあって楽しめますし、のど飴とか嗜好品以外の製品もあります。

 それに飴細工なんていうのもあって視覚でも楽しめるようになっています。

 うん、これだけを考えても飴は素晴らしいと思います。

 でも、飴の素晴らしさはこれだけではないと私は思うのです。

 まぁ、なんていうかあれです。はっきり言うとあれです。

 エッチな意味でも便利だなと思うんですよね。

 たとえば、飴の口移しってあります。

 あれは飴だけができるいやらしさみたいなのがあると思います。

 普通にキスをするのとはまた違う独特の感覚。二人の熱で飴が溶けだして、とんでもなくあまーいキスができてしまいますし、見た目にも蠱惑的な魅力があります。

 アイスとかチョコでも似たようなことはできますけど、あれではすぐ溶けてしまいますしあのキスは飴だけの特権だと思うのです。

 そして、飴にはそういう意味でまだまだ特権があると思うのです。

「ふふ、はるかさん」

 放課後、保健室でのデート。意味もなく二人で保健室のベッドを占領します。

 今では懐かしくも感じる幸せな時間ですが、今日はただ郷愁にひたるためではないです。

「はるかさんの食べている飴、おいしそうですね」

 ある計画を移すためにここにいるんですから。

「………………」

 気のせいか、はるかさんが訝しげな顔をしていますね。

 これはあれですかね? 警戒をされているということでしょうか。

「……口移し、とかはしませんよ」

 おぅ。……私の思考パターンを読まれていますね。

(……もっとも、すべてを読まれている、というわけではないですが)

「いえいえ、ここは学校ですよ? 神聖なる学び舎でそんなことをするわけないじゃないですか」

「……どの口が言うんですか」

 ……改めて思いますが私って信頼を失っていますねぇ。ある意味信頼されているともいえますけど。

 まぁ、それは置いておきましょう。

「いえ、でも、本当ですよ? だって、口移しじゃなくて……」

 私はベッドの上ではるかさんの方に身を乗り出すとはるかさんの頬に手を添えてから、

「こうするんですから」

 と、もう片方の手ではるかさんの口の中に持っていきました。

 中指と人差し指を入れながら反射的に閉じようとする口を開いてそのままはるかさんの口の奥へと突き入れていきます。

「ん、ぁ……じゅ、…せん、ぱ……ちゅ、ぢゅ……い……」

 指で飴を掴みながらはるかさんの舌に押し付けたり、二本の指で飴をはるかさんの中で弄びます。

「あ、…あ……んぁ……っ」

 くすぐったいのか、恥ずかしいのかはるかさんは声にならない声をあげて私に何かを訴えます。

 やっぱりちょっと苦しいのか涙目になっていたりなんかして私はそれだけで心の高まりを抑えきれません。

 涙目で、頬を赤らめるはるかさん。

 正直言ってたまりません。最近なぜかはるかさんに攻められることも多くなったこともあって私の中でいけない気持ちがどんどんと膨らんでいきます。

 その後も、一分くらいはそうしてはるかさんの好みの姿を見せてもらいながらようやく私は飴を掴むと

「あ………」

 糸を引きながらはるかさんの口から取り出して

「あむ……」

 はるかさんの唾液まみれになった指ごと飴を口に含みました。

「うん、おいしいです」

 満面の笑みで言いながら私はやっぱり飴っていいものだなぁと思うのでした。

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