「……ふふふ」
ゆめは楽しそうに笑う。
普段彩音の前ではしない。いや、しようと思ってもなかなかできない顔をしてゆめは目の前で膝をつく彩音をベッドの上から見つめる。
「………………」
普段とは異なる高圧的な瞳
「ん、ゆめぇ」
(……………)
彩音はそんなゆめを扇情的に見上げ、ゆめはその視線を満足げに受け止める。
「…………ほら」
そして、彩音に指を差し出す。
「……あむ」
彩音は差し出された手を取ると、迷わずにゆめの人差し指を口に含んだ。
「あむ、ちゅぷ……れろ、くちゅ」
唾液をまぶしながら、丁寧に彩音はゆめの指をなめていく。
「…………いい子」
ゆめはひどく優越感を感じながら彩音の頭を優しく撫でる。
「はぁ……ゆめ……」
そうされた彩音は嬉しそうに体を震わせ、指を離してもう一度ゆめに熱のこもった視線を向けた。
「……彩音」
ゆめは彩音の腕をとって力を込め、自分のほうへ引き寄せると
「……ご褒美、あげる」
そう告げながら引き寄せた彩音の唇を奪った。
「…………ふふふ」
現実に戻ったゆめは、小さく笑いをこぼす。
「……いぃ」
ベッドの上で都合のいい妄想に浸るゆめだったが
「……う、にゃ……」
翌日、彩音がゆめの部屋に遊びに来ていた。
ゆめはそこで昨日ベッドで何度もした、というよりもいつも寝る前にしている都合のいい妄想とはまるで逆の展開になっていた。
「ほらほら、ゆめ、おとなしくてしなって」
彩音にベッドに押し倒され、服に手をかけられている。
「……や、め……る……」
ゆめは形ばかりの抵抗として彩音の柔らかな体を掴むが完全に覆いかぶされてしまいもはやどうすることもできない。
「だって、ゆめは新しい体育着買ったとか言うから、悪いんじゃん。もうそれは見てほしいってことでしょ。だから、お着替えを手伝ってあげるの」
そう言って彩音はゆめの服をずらし始める。
「……じ、ぶん、で、でき、る」
「いやいやいや、大丈夫あたしが手伝ってあげるから」
おへそが見えるくらいだった露出がすでに下着が見える位置にまで来てしまう。
「……にゃ……ぁ」
こうして今日もゆめは妄想と真逆に彩音に好きにされてしまうのだった。
いつか妄想の通りにしてみせると心では思うが、服を脱がされてしまったゆめは恥ずかしさに彩音をにらみつけるしかできなかった。