「ねぇねぇ、なぎちゃん」
「ん? なによ」
お風呂から上がった私と陽菜は部屋で就寝までの時間を過ごしていた。
「なぎちゃんって、もしかしてさ」
そんな中、陽菜は私のベッドに上がってくるとそこでちょっと不思議そうな顔をして
「胸小さいの気にしてるの?」
とんでもないことを言ってくる。
「っ!!? な、ななななななにを言ってるのよ!!!」
いきなり誰にも気づかれていないはずの図星をつかれた私は柄にもなく顔を赤くして、陽菜に食いかかった。
「そ、そんなことあるわけないでしょ! わた、私がそんなこと気にする人間に見えるの!?」
「んー、あんまりそう思わない、けど」
「で、でしょ。私はむ、胸なんて別にどうでもいいし、服とか下着だって別に機能さえしっかりしてれば、どうでもいいんだし!」
迂闊だ。
本当に気にしていないのであれば、もっとどうでもよさそうな反応をするはずだ。
この過剰な反応は言葉とは逆の意味を示しているなど誰でもわかる。
まして、せつな先輩以上に私のことをわかっている陽菜であれば。
「んー、でも、最近なぎちゃんの視線が私の胸に行くこと多いし、さっきもお風呂でいっぱい見られちゃったし」
「っ!!?」
「それに、朝比奈先輩の胸もガン見してたし」
「っ!!!!! な、ななな……」
こ、言葉が、出ない。
ば、ばれてた、の?
た、確かに最近そういうことは多かった自覚はあるけれど、で、でも
「あはは、なぎちゃんおもしろーい」
「せ、せつな先輩には、言わないでよ」
うぅぅ、情けない。こんなことを言うなんて。しかもちょっと涙目になっているし……
「別に言ったりはしないけど。というか、胸見るのやめないと勝手にばれちゃうと思うんだけど」
「き、気をつける、わよ」
「ふふふ、やっぱりなぎちゃんって可愛いよね」
「っ、か、可愛くて悪かったわね。どうせ、私のは……」
「あはは、今のは胸の話じゃないのに」
「っ!!」
な、泣いてしまいたい。
唇を噛んで、ブルブルと震えて羞恥に耐えるけれど、正直本当に今すぐ涙が出てきそうだ。
陽菜はそんな私を見てクスっと笑うと
「ねぇねぇ、なぎちゃん」
陽菜に似合わぬ、含みのある笑いをした。
「胸をおっきくする方法って知ってる?」
「…………」
そして、私の耳元に口を寄せると
「好きな人に揉んでもらうんだよ」
そう囁いた。
「っ!!!!!!」
一瞬、そんなシーンを想像してしまった私は
「そ、そんなことできるわけないわよ!!!」
と、部屋の外まで響く声を上げてしまうのだった。