せつなには本編の一話から登場してもらって、ここまでずーっと歩いてきてもらいました。

 その間はっきり言ってせつなにはつらいことのほうが多かったでしょう。本編のころなんてせつなが幸せだったのはわずかな期間でしかなかったと思います。……私のせいではありますけど、せつなはずっと苦しんできた。

 涼香に関することは、渚のおかげで意味のあるものになりました。涼香を想って苦しんでいた時間は渚と恋人になるためにあった、とまでは思えていないでしょうけど、でも少なくても否定するものではない。一言でまとめられることなんてできるわけもありませんが、でも、せつなにとって涼香との時間は【想い出】になっていると思います。

 ただ、そうだとしてもそこにあった傷が消えるわけじゃない。

 それほど意図的ではありませんけど、この二人の話を書く上でせつなは渚から見て、大人に見えるように書いてきました。常に年上の余裕を見せ、年少で初心な渚を導くお姉さんでした。せつなは自分にそれを強いてきたんでしょう。もしかしたら、付き合い始めた日も遠因にはあるのかもしれません。

 次回に書くことになるでしょうけど、せつなは自分から渚に手を出せるわけがないですね。これまであったことを考えれば。まして、相手の了承を得ずになんて。

 それが渚の感じた最後の傷。

 渚がそれを今まで感じることすらできなかったのは……渚の言葉を借りれば【子供】だったからです。でも、今ここで気づけた渚は……どうすればいいのかな。

 

 

 と、渚のことはともかくとして、私としてはせつなの傷を描き、それを解決することはせつなへの恩返しかなと思っています。

 本編も、外伝であるこの渚編も、またちょっと遠いかもしれないけどせつなの姉であるときなさんと絵梨子先生の話もせつながいたからこそできたことなので。

 だから、せつなのことを絶対に幸せにしてあげたいです。一番苦しんで、それでも前を向いてきたせつなだから。

 書き終えたときに、ありがとうとせつなに言えるようなものが書いてみたいと思います。

 では、多分最終回をお待ちください。

 

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