これまでの六話まるで進みませんでしたけどやっと玲菜の一端を出すことができました。

 ただ、個人的には前半部の姫乃と天音のところが好きだったりします。

 

 姫乃は一見ひどい子にも見えますが、私はあれが普通であると思います。誰だって綺麗でばかりいられないです。表面は笑えても心では暗い気持ちを抱えるなんて誰にでもあることで、それがつい爆発してしまうのも普通のことです。むしろずっと抱えていける方がおかしい。姫乃はそれで自己嫌悪になってしまいましたけど、それが原因で玲菜の傷を見ることになったわけですし、これから頑張ってもらいたいです。もっとも、天音にしたことは許されはしないことですけど。

 

 天音ですが、天音は天音でつらい目にあってしまいました。玲菜が好きなら玲菜が結月以外に興味がないことはわかってしまう。玲菜を知れば知るほど結月との関係を意識せずにはいられず、玲菜に近づいたはずが遠ざかってしまうようなそんな絶望を感じていたかもしれません。そこに姫乃の言葉。姫乃が天音に昔の自分を見たように天音も姫乃に未来の自分を見てしまった。嬉しいはずのデートで何もできなくて、結月との差を感じるしかなかった。そんな時に見てしまった玲菜の傷。天音はどう向き合うでしょうか。

 

 玲菜は……ある程度予想できていたかなと。常に自分に価値がないように思っていましたし、深読みすればそういうことなのかなというところはいくらか入れてきました。玲菜がしてる理由などはこれから本編で明らかになっていくことですが、他のことに関しては少しここで書いておきます。

 玲菜がこんなことをしておきながら日常生活を普通に送れているということですが、それはおかしなことではと思います。誰にだって人に言えないような秘密があって、玲菜からすればこのリストカットはその一つでしかないです。例えるのは難しいかもしれませんが、誰にも見せるつもりのなかった日記を見られたようなものです。玲菜にとっては。ただ、自分のしていることが異常なことだという自覚はあってそれで騒がれたり奇異な目で見られることは嫌です。そんなことになれば「なぜしているのか」という玲菜のもっとも触れられたくない部分に触れられてしまうから。もっとも玲菜はそれだけではないですが。

 ちなみに結月は知っています。五話では一緒にお風呂に入ったりなんかもしてましたし、普通の生活の中では隠せても寝ているときまで守り通すなんてできませんし。

 ただ、三人が見た時には何も言えなかったように、人の心に入り込んでいくのには勇気がいることです。

 他人の傷に手を伸ばすことも、差し伸べられた手を取ることも勇気がいります。それは誤れば今までとこれまでの関係を壊してしまうこともあるから。

 結月と玲菜は今の関係はある程度は納得しているでしょうが、玲菜の傷を知った今他の子たちはそうは思えないかもしれませんね。

 

 あと、香里奈だけが知らないですがそれは香里奈が候補から外れたということではないです。むしろ玲菜からすれば何も知らない香里奈のほうが話しやすい相手として映るかもしれませんね。

 

 と、少し長くなってしまいましたが今回はこの辺で。お読みいただきありがとうございました。

 

 ……ルートはちょっと特殊な感じなのを考えています。

 

 

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