恋。

 それは色んなものがあると思います。

 その人のためなら何でもできると思ったり、その人のために尽くせることが嬉しかったり、その人と話せるだけでも幸せになっちゃったり。

 大げさに言ってしまえば生きる力にもなる。それが恋の一面だと思います。

 でも、当たり前ですけど恋は楽しいだけじゃないんですよね。渚が言っていたようにリスクを背負う。リターンだけの恋なんて存在しない。それは、単純に相手のことだけでなく今回の渚のように恋をする自分に苦しむこともあると思います。まして渚は自分なりに自分を持っていました。それを曲げる事はこれも大げさに言ってしまえば、自分を否定することにも繋がるような気がします。だから、渚は苦しんでいます。恋をする自分に、代わってしまいそうな自分に。そういう意味じゃ渚は恋のプラスな面を一切持っていない感じですね。

 

 しかし、せつなのことを知っている人間がせつなへ恋をすれば誰もが苦しみますよね。せつなが涼香を好きだと知っている、せつなが涼香をあきらめていることも知っている。だからといって自分を好きになれとは言えるはずもなく、想いを抱えるせつなを見つめるしか出来ない。

 渚が考えたようなこと……ずっと涼香を想い続けるのかという問いは簡単に言えることではありません。何も考えずにそんなことが言える人間は人間ではないです。しかし、渚が思ったように好きならば、好きになってもらいたいと思うのならいつかはそのことを言わなければなりません。

 果たしてそれが渚にできるでしょうか。

 

 ちなみに補足となりますけど、せつなは涼香を大好きです。諦めても、美優子に託したことを今度こそ後悔はしていません。ですけど、想いは一分も欠けることなくせつなの中に存在していて……それはこれまで苦しんだ分や、嬉しかった分が積み重なっているもの。……その想いを他の人間に向ける事は簡単ではない。というよりもせつなの中では絶対にありえないと考えているでしょう。しかし、同時に不安はあると思います。それこそ渚が考えたのと同じことが。まだ、せつながそれを考えるのはできないです。でも……もし何かきっかけがあるのなら、それに目を向けることができるかもですね。

 問題は見つめた先にもありますでしょうけど、それよりもまずはそこを見ることですね。

 

 渚はそこまで行くことができるでしょうか。それはまた次回ですね。

 

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