「うふふふふ」
粗雑に物が散らばる部屋の中に心底嬉しそうな笑い声が響く。
「はぁ〜〜」
かと、思えば今度は恍惚とした息を吐きまた頬を緩める。
「やっぱりいいなぁ」
その声の主は澪で、机の上でパソコンの画面を見つめては表では絶対にしない顔をしていた。
「彩音ちゃん達ってやっぱり最高」
澪が見ている画面には現在ネコミミをつけ、恥ずかしそうにしている彩音が写っている。いつぞやゆめに貸して、その時に写真を撮ってもらったものだ。
「かわいいなぁ」
言いながらマウスを動かして次々に別の写真へと切り替える。
そのほとんどは彩音とゆめと美咲をうつしたもので、了承を取って撮影したものではないことは、カメラ目線をしていないことを見ればわかる。
隠し撮りといってもいいかもしれない。
三人にはいえないが、三人の日常をうつした澪の秘蔵のコレクションだ。
最近ではゆめに協力もしてもらってその内容も充実してきたと自己満足している。
「そういえば、一緒のベッドで寝たりするとかっていってたなぁ……うぅぅ、見てみたい。……でも、私がいちゃ自然じゃなくなっちゃうもんね。うーん、ゆめちゃんと一緒に寝てるところじゃゆめちゃんに写真とってもらうわけにもいかないし……美咲ちゃんにはちょっとたのみずらいし……」
正直彩音が二人に囲まれて寝ているという姿を想像するだけで顔がにやけてしまうが、現実にその姿を見れないと思うと意気消沈してしまう。
「はぁあ。ゆめちゃんからお話聞くだけでも楽しいけど、やっぱりもっと見てみたいなぁ」
澪が見たい彩音たちの姿というのはおそらく三人、あるいは二人きりではないと見れないようなものだ。
他人には中々理解されないだろうし、またそれを表に出すつもりはないが澪は楽しみながらも重いジレンマを抱え
「あーあ。透明人間になれたら彩音ちゃんのお部屋に忍びこんじゃうのになぁ」
などと妄言を吐く。
「……あ、でも。目の前であんなことされたりしちゃったらなぁ……彩音ちゃんって変態さんみたいだし。それはそれで見てみたいけど…………はぁ」
ため息をつきながらも落ち込んだ様子はなく澪はまた画面を見ては頬を緩め、
「ふふふ」
幸せそうな笑顔を浮かべるのだった。