「ふふふ」

 寝る前の私は枕元においたお姉ちゃんたちのチョコを眺めて唇の端を吊り上げた。

「お姉ちゃんたちってばほんと可愛いんだから」

 まず美奈お姉ちゃんからもらったチョコを見つめる。

 美奈お姉ちゃんはあんなくらいで満足なんだ。美奈お姉ちゃんなら直接口移しでもいいのに。

「一回くらい、チョコ取る振りしてキスしてあげればよかったかな?」

 そうしたらお姉ちゃんどんな顔しただろ。想像するだけで楽しくなっちゃう。

 今度は紗奈お姉ちゃんの。

 紗奈お姉ちゃん、私がちょっと演技を過剰にしただけであんな風に怯えちゃって。ほんと可愛かったなぁ。

 それに、【あーん】だって。

 ふふふ、楽しかったなぁ。

 味もだけど、今年は紗奈お姉ちゃんの勝ちかな。

「……あとでご褒美してあげなきゃ」

 私はお姉ちゃんたちには見せない笑顔を浮かべる。

「楽しみにしてて、お姉ちゃん」

 そうして、今度はどんな風に可愛がってあげようかなって頭をめぐらすのだった。


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