「はぁ〜〜」
他の休み時間よりも少しだけ長い二時間目の休み時間。
この時間にははるかさんがよく会いに来てくれて色々お話をするのですが
「はふぅ…」
今日のはるかさんは勝手に借りてる保健室の机でうなるだけです。
「どうしたんですか? はるかさん?」
はるかさんがきてくれたのは嬉しいのですが、こうされていては意味がないのでとりあえず聞いてみることにします。
「さっき、授業が変更になって体育やってたんです……しかも走らされてくたくたなんですよ。はぁ〜……」
「それは災難でしたね」
はるかさんは机にくた〜と顔をつけていかにもつかれた〜という様子を見せます。そんなはるかさんもとっても可愛くてほっぺをぷにとつつきたいです。
「あ、そだ。先輩」
「は、はい? 何ですか?」
「先輩ってよくお菓子持ってきてますよね」
「あー、そうなんですけどね……」
「何か甘いもの持ってません? 疲れたからあったらもらいたいんですけど」
「すみません。ちょっと今日は切らせちゃってるですよ」
「はぁ……そうですか」
うわ、あからさまにがっかりされちゃいました。これはちょっと寂しいです。
はるかさんが大好きな私としては、なんとかしてあげたいのですが魔法で手から和菓子を出せるわけでもありませんし、どうすることもできません。
「うー、甘いものー」
でも、私がいるのにはるかさんは甘いものに夢中なようで私のことなんて見てくれてません。それは私も私でお菓子がなくて寂しいとか言うレベルの問題じゃなく寂しいです。
「そうだ。はるかさん」
そんな中私はあることを思いつきました。
「んー、なんですか?」
はるかさんはけだるそうにしながらも私が呼ぶと体を起こしてくれました。
好都合です。
「甘いもの、欲しいんですよね?」
「そうですけど、あるんですか?」
「ありますよ。とってもあまーいものが」
「そこまで甘くなくてもいいんですけどね。まぁ、いいやください」
「はい。では……」
私はまず、はるかさんの手を取ります。
「? あの、先輩?」
次に開いてる手をはるかさんの背中に回して、体をこちらに引き寄せます。
「ちょ、え? あの?」
最後に困惑しているはるかさんを無視して私はどんどんはるかさんとの距離を縮めていくと……
「せ、せんぱ……んむっ!!?」
油断していたはるかさんの唇を奪ってしまいました。
「っ。ぱぁ! な、なにするんですか!!?」
それほど長くなかったキスを終えるとはるかさんは真っ赤になって怒ってにらみつけてきます。
「何、ってはるかさん甘いものが欲しいって言ってたじゃないですか」
「そ、それとキスがなんの関係があるんですか!!」
「だから、あま〜いキスをしてあげたんじゃないですか」
「…………」
私は実に楽しくはるかさんと話していたのですが、はるかさんは何がお気に召さないのかじと〜っとした目で私を見てきます。
けど、これが本心だけど本心じゃないっていうのは私が一番よくわかってます。
「もぅ、急にキスしないでいってるじゃないですか。……ちゃんと、私も先輩のこと感じたいんだから……こんな一方的じゃ……」
(っ〜〜。やっぱり、はるかさんって可愛いです)
ほんとにもう可愛いなんて言葉じゃ表せないくらに愛おしすぎです。できれば、このままベッドに誘ってもっと甘く溶け合いたいくらいに……
「じゃあ、今度ははるかさんからしてくれます?」
と、さすがにそんなことはできないのでまたはるかさんをからかいます。
「そ、そんなことしません! 授業が始まるので帰ります!」
「あ、はるかさん〜」
また顔を赤くしてちょっぴり怒ったはるかさんは立ち上がると大きな音を立てて保健室から出て行ってしまいました。
(……ご馳走様です)
そんなはるかさんを見せられた私は思わずそう心でつぶやいてしまって、甘いものが欲しいなんていってたはるかさんじゃなくて私のほうがお腹いっぱいになってしまいました。