「くぅ……くぅ」
お姫様が寝てる。
あたしは体を半身にしてベッドの隣で眠るゆめのことを軽く抱き寄せた。
「まったくこの子は、いきなり大胆になることがあるよね」
胸に顔を埋めさせて今度は髪を撫でる。
「まさか寝込み襲ってくるなんて」
実はゆめがキスをする時にはあたしは起きてた。
おっと、勘違いしてもらうと困るんだけど別にあたしはゆめがあたしが寝てるのにどんなことをするかって試してたわけじゃないよ。
気づいたらほっぺつねられてて、なんとなくそのまま起きなかっただけ。それになんだかゆめの「……寝てる?」からすると起きづらい雰囲気だったし。
でも、キスされたのにはびっくりした。
何かするのかなって雰囲気はあったけど、ベッドに上がってきたかと思ったらキスをしてきた。
あんなことされちゃうとさすがのあたしも起きるわけにはいかなくてゆめを受け入れたけど。
(けど、ね……)
「ん……みぅ」
指で唇を撫でる。
あたしのじゃなくてゆめの唇を。
小さいけどしっかりとした弾力があってとっても可愛い。
(どんなつもりだったのかねぇ)
二回目のキスはもっと驚いた。
舌で舐められたのもそうなんだけどゆめのほうがびっくりした感じになってた。
自分からしてきたくせに。あのくらいもういくらでもしてるのに。
ビクンってなってあたしから離れたかと思うとそれ以上は何もしないであたしの横でこうなっちゃった。
(それに、最後のバカってなんだったんだろ?)
ゆめのバカにはバリエーションがあって、さっきのは多分照れ隠しだったって思うけどなんだかそれだけじゃなかったような気もする。
まぁ、色々よくわかんないことは多いけど
「ちゅ」
あたしはゆめのおでこにキスをして
(そのうち、これを利用してからかってみようかなっと)
ゆめの想いを全然察しないでそう思ってた。
(あ、そだ。美咲にも寝たふりして様子みてみよ)
ついでに、あとが怖くなりそうなことまで考えてしまうのだった。