冬に部屋の中で一番過ごす場所は? って聞かれたらもちろんさまざまな答えがあるだろうけど一番の答えはずばりこたつだと思う。
やっぱりこたつはいい。
外は身を切るような寒さの中、暖かなこたつに入ってみかんでも食べながら本を読んだり、ゲームをしたり、だらだらとおしゃべりをしたり。
することは尽きず一日中でも過ごしていたいくらい。
(なん、だけど……)
「ふ、ぁ……」
あたしは今こたつに入りながら顔を真っ赤にしてくぐもった声をもらした。
「……彩音、どうした?」
対面に座るゆめがあたしの様子を気にして首をかしげながら問いかけてくる。
「……こたつ熱いなら弱くする」
「あ、いや、だ、大丈夫」
善意で聞いてくるゆめに対しあたしは罪悪感を感じながら必死に応える。
「けど、ほんとに調子悪そうよ?」
今度は斜め、というかこたつの脚を挟んでほとんど隣にいる美咲がしたり顔で話かけてくると
「っ……」
あたしは強い視線で美咲を睨んだ。
誰のせいで赤くなってるんだと。
「やっぱり赤い、少し弱めてあげるわ」
と言ってこたつの下にもぐる美咲に
「あ!? ま、…」
待て! と言おうとして止まる。言っても無駄なことと、言うことによってゆめに余計な疑念を持たれるのは困る。
「………っ」
(っ……く、ぅ)
美咲がこたつ布団を捲った際に外気が肌に触れる。それと
「……ん、ぁ」
お腹から胸に訪れた刺激に思わず声が出た。
「……?」
(やば)
ゆめがこっちを見たのに気づいてあたしはとっさに読んでいた雑誌を立ててゆめから顔を隠す。
そう、困っているのは今、美咲にされたこと。
(……く、そっ……)
身を焦がすような快感にあたしは頬を染めている。
こたつにもぐった美咲はあたしの服の下に手を入れ胸に触れている。
ゆめがいる手前あんまり激しい動きではないけど、あたしのことを知りつくしている美咲は的確に快感を与えてくる。
ブラの隙間から手を入れくにくにと押すように揉み、時折先端を弾く。
「ぁ……は、ぁ」
声を出すわけにはいかなくてあたしは、精いっぱい誤魔化すようにするけどそれがゆめの疑念を誘う。
「…彩音、調子悪いならこたつじゃなくてベッドで寝たほうがいい」
「だ、大丈夫だって、ちょっと熱いだけだから……ぁ」
こっちがしゃべってるってのに狙い澄ましたかのように美咲が乳首をつねる。
「…………むぅ」
「ほ、ほんとに調子が悪い訳じゃないから……」
(いや、むしろゆめに連れ出されるんならこの状況を脱することができる?)
なんてことを考えたけど
「そんなに心配することじゃないわよゆめ。こいつはすぐ赤くなるタイプなだけだから」
「……むぅ」
「ね、彩音」
「……あはは。まぁ、そういうこと、かな。だから……!?」
こたつから出てきた美咲は今度はあたしの下半身に手を伸ばしてきた。突然の刺激にもれそうになった声を抑え、思わずテーブルに突っ伏す。
(ま、まずい)
どう考えても不審だ。
なんとか言い訳をしなきゃと思っている間にも美咲はあたしの股間を弄る手を止めず、無表情を装いながらあたしの反応を楽しんでいる。
「ね、ねぇ、ゆめ、とりあえず冷たいものでも持ってきてくれない?」
苦し紛れに言ったのはゆめを遠ざける案。素直に聞いてくれるかなって心配ではあったけど
「………わかった」
訝しげながらもゆめは頷くと立ち上がってドアの方へと歩いて言う。
「……ん、くぅ」
その間も美咲は容赦がないというか、ゆめの視線がなくなったのをいいことに両手をあたしへと胸と股間からあたしを翻弄する。
「…ぁ……ん、ぅ……」
ゆめが出ていくまでは数秒だったはずだけどそれが何倍にも感じられ、羞恥と熱と快感に体が火照り声が抑えられない。
パタン、とようやくゆめが居なくなるのがわかると
「んふふ、よかったわね、ゆめが鈍感で」
「……ば、ばっかじゃないの、あんたは!」
当然あたしは美咲に食って掛かった。
「あら、約束でしょ。私の言うこと聞くって」
「っ……」
その言葉にあたしは閉口する。これまで美咲をいろいろ怒らせてしまってたのは事実で言うことを聞くといってしまったのもあたしだ。
「ふふ、ドキドキしたでしょ?」
「うっさい、変態」
ゆめがいなくなったことで強気になったあたしは吐き捨てるようにいうけど、美咲はまるで気にした様子もなく「あら」と言って
「っあ、ぁ、ぅ……ん!」
ショーツの中に指を入れた。
ねっとりとした熱さが美咲の指を迎えるのがわかる。
「ここ、こんなにしてるのは変態じゃないの? しかもゆめに隠れながらして」
クチュクチュとすでに十分に湿ったあそこを美咲の指が音を立てる。
「そ、れは……あんたがするから」
「えぇ、そうね。けど、ゆめに内緒でされて感じちゃってるのは彩音でしょ」
と、美咲は指を出してねっとりと光る指を見せつけてきた。
「っ…って、っていうかこれ以上はまずいって。ゆめに気づかれたらどうすんの」
「別に私はそんなに不都合はないわね。あんたは恥ずかしいかもしれないけど」
「……っ」
それは、そうかもしれない。
例えばばれることであたしたちの関係が破たんするのなら大問題だけど幸いと言うべきかその可能性はかなり低い。
だからと言って何事もないかと言えばそんなこともなくまず間違いなくゆめを不機嫌にさせるしゆめまで何等かの要求をしてくるのは想像に難くない。つまりあたしには美咲を受け入れるという選択肢しかなく、
(まったく何でこんなことになったんだか)
と呆れながらも覚悟を決めたところで
「……ん」
ゆめが戻ってきて、美咲の時間が再開されてしまうのだった。