十一月も半ばになって本格的に秋が終わろうとしている。外からは強い木枯らしが窓をゆらしがたがたと音を立てる。
その音に混じり
「ん……ちゅぁ……んっ」
「ぁんっ……ふあ、鈴……さん」
ピチャピチャと学び舎にふさわしくない音が響く。
「……ふふふ、ここ、こんなにして。わかる? 冬海ちゃんのエッチなお露が溢れてるの」
教室の中制服のスカートをめくりあげ、ショーツをずらし十二分に潤った女の子の場所を弄るとさらに溢れすぐに指がびしょびしょになっていく。
「あ……うぅ…い、わないで、くだ……さい」
もうエッチをすることにも、学校ですることある程度慣れてきて冬海ちゃんから求めることすらあるけれどそれでも羞恥心は消えないのか恥ずかしそうに顔を真っ赤にする冬海ちゃんは可愛いと思う。
……もう私にはこんな反応はできないから。
「いけない子ね冬海ちゃんは」
あえて耳元で囁くように言って心を揺さぶらせながら二本の指で弄ると粘液「が絡みついてくる。
「……ち、ちがい、ます」
それでも冬海ちゃんは否定をする。
そんな頑ななところがとてもらしくて
(……崩したくなる)
「そんなことない。いけない子よ冬海ちゃんは。ほら……」
私は若干低くつぶやくと指を
「っぁん」
冬海ちゃんの口の中に突き入れた。
「ほら、冬海ちゃんのせいで私の指こんなになっているのよ? これでも冬海ちゃんはえっちじゃないっていうの?」
女の子の中とはまた別の暖かさと柔らかさを持つ口腔で舌に指を絡ませる。
「んぁぷ…ぁ……んっふぁん」
愛液を舐めとらせるけれど今度は唾液でべとべとに濡れていく私の指。
「……ほら、えっちな子だよね、冬海ちゃんは。んっ……」
引き抜いた指を見せつけるように丹念に舐めとる。
「あ………」
ついで冬海ちゃんの唇の端から垂れた唾液を掬い、そのまま唇を奪った。
ぎゅっと抱きしめてくる冬海ちゃんと深くつながりながら存分にキスをむさぼり
「……冬海ちゃんが嫌なら、やめちゃうよ?」
目を細めてそう問いかける。
「……っ」
目を伏せて私の問いから逃れようとするけど答えは聞かなくてわかっている。
「………して、くださない。最後、まで……いけない、わたしに………鈴さんの……愛を、ください」
(…………)
倒錯した快楽が私の中を駆け巡る。
そして私はにやりと笑うと
「ご褒美あげる」
と再び重ねていった。
学校でした後は当然二人で帰ることになるけど、この日は教室に忘れ物をして途中で一人、引き返していた。
明日提出用のプリントを忘れてしまった。
冬海ちゃんとあんなことをしておいても、こうして【普通】の学生のようなことしているのをどこかおかしく思う。
(……どっちをおかしいって思っているの?)
なんて考えてしまうけれど答えを出すのも怖くて無心に教室に戻ってノートを取ってまた来た道を戻っていく。
すると
「……っどうして、ですか!?」
下駄箱へ向かう途中、一階へ降りた階段の奥まった場所から聞き覚えの、いえ……聞き間違えるはずのない人の声。
千秋さんと
「……前から言っているでしょ。学校でこういうのはよくないって」
蘭、先輩。
二人は何かを言い争っている様子で私は思わず階段の上から二人の様子をうかがう。
「今まではしてくれてたじゃないですか……なのに……今更」
「だから、前から駄目とは言ってたでしょ」
蘭先輩は相変わらずらしくなく、その陶器人形のような美しい顔を歪めて弱々しく声を出している。
「寮でなら変わらずしてあげるわ。だから、学校じゃもう」
「……それじゃあ、一緒じゃないですか」
「? 何が?」
「それじゃあ……他の子と一緒じゃないですか」
「……そうよ。わかってるでしょう」
二人の会話がどんな意味かは大体わかる。でも、何を発端にどういった理由で起きているかはわからない。
特に蘭先輩の意図は。
「っ……鈴のことは抱きしめてたくせに」
(っ!?)
急に名前を出されて驚く。確かにそんなことはあった。けれどそれは決して千秋さんの言っているような意味じゃないのに。
「……あの子とはそういうんじゃないわ。ただあれは……」
「……理由なんかどうでもいいです。鈴にしたのなら私にもしてください」
「…………………」
蘭先輩は戸惑っているのか何も返さない。それが千秋さんを不安にさせたのか
「……お姉さま!」
千秋さんはすがる様によんだ。
「……お姉さまって呼ぶのも駄目」
けれど蘭先輩は冷たく言い放つ。
「……………さっきも言ったけど寮でならちゃんと相手をしてあげる」
「……それじゃあ、駄目なんです。それじゃ、特別じゃない……お姉さまの特別じゃ……」
「………とにかく、この話はもう終わりよ。これ以上学校でっていうんなら…………寮でも相手はできない」
「っ!!?」
「それじゃあ……ね」
バツの悪そうにその場を立ち去る蘭先輩と、
「……お姉、さま」
力なくその場にたたずむ千秋さん。
(………………)
何が起きたのかわからずとも見てはいけないものを見たということだけは自覚し、しばらくして千秋さんがその場を立つまで私も動けずにいたのだった。