「はっ! クシュ!!」
ベッドに寝込む結花は大きなクシャミをした。
「あ、ほら大丈夫? 薬持ってきたわよ」
私は結花のお母さんからもらってきた風邪薬を持ってベッド脇に置いたイスに座る。
「ありがとう。……んくっ。く…ん……」
結花は私から錠剤と水を受け取ると、早速飲もうとした。
「うー、んくっ…ぅん……」
でも、この年になって、結花は錠剤を飲むのが苦手でなかなか喉を通らない様子。
私は、そのある意味みじめとも言える姿を黙って観察する。
「…………あぅ、苦い……とけてきた……ん〜〜」
結花はなんどもなんども、水を口に含んでは水だけで喉を鳴らし、一向に薬が飲めていないみたい。
風邪のせいで頬は赤らんでて、しかも何度も苦しそうにするのに、不謹慎にも私はそんな結花がおかしくて、実に可愛いと思ってしまう。
「っは〜〜。やっと飲めた……」
「お疲れ様」
「む〜、それしてもどうして私だけ風邪ひくのよ。美貴だって一緒に濡れたのにぃ……」
結花がこの前のあのキスの次の日からで、もう三日熱が下がってない。毎日お見舞いに来てるけど、そのたびにこのことを言われる。
ちなみに結花以上に濡れた私はなんともない。
「けほっ、ごほっ! うー」
「大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃない……あ、あの時みたいに美貴が暖めてくれれば大丈夫になるかも?」
その一言で私はボッと火がついたように赤くなった。
「あ、あれは……あの時は……と、とくべつだったから……そ、それにうつったらどうするのよ」
「あは、じゃ、風邪ひいてなかったらいいの?」
「そ、そういうわけじゃ……」
「あはは、冗談だよ。さすがに、私もこんなんじゃ、ちょっとね。お母さんもいるし……っは、くしゅ……う〜……けふ……」
冗談を言う元気くらいはあるみたいだけど調子悪いのも嘘じゃないっていうのはわかる。
「あ…………」
私はベッド脇に寄添って、結花の手を握った。
「暖めてはあげられないから……今日は、これで我慢してよね」
「うん……いいや。これは、これで気持ちいいから。ありがと、美貴」
「どういたしまして」
そのまま少し話していると結花は薬の影響かうつらうつらとしてきた。
「……眠いんなら寝たら?」
「……うん、そうする。おやすみ〜」
「おやすみ」
そうして寝入った結花をしばらく見つめると、私は手を離して結花のほっぺに優しくキスをした。
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<%--おまけなので、軽く読み流してくださって結構です。特に、「暖めた」とかに対して深い読みとか考えないようにw そこはご想像におまかせしますw
これからの美貴&結花は書くなら、こういうのが中心になると思います。では〜
だからこれも奈柚のことがなければ……
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