こと、が終わってしばらく。
シャワーを浴びたいというゆめが目の前からいなくなり、その間耐え難い罪悪感にさいなまれ、それはゆめが戻ってくると一層強まる。
「……えーと、ゆめ?」
まだ湿った髪のゆめは声をかけるだけで身構えられる姿にはさすがに悲しくなるけれど、自業自得で何も言うことができない。
「……なんで、こんなことした」
(怒ってるわね……)
当然か。こういうのを避けて私の方に来たのに、その信頼していた私にあんなことされちゃ。
「ごめんなさい。ゆめが可愛くて抑えられなかった」
言い訳することも考えたけれど、せめてここくらいは素直に謝ろう。
「…………」
「ゆめと二人きりですることってほとんどないし、ゆめが抵抗できないのをいいことに調子に乗っちゃった。本当にごめん」
(ほんと、最低よね)
彩音が流れでとか言ってたのと同じことをしてるのよ。あの彩音と。
「……………」
ゆめはそんな私に何も言わずにただ見つめるのみ。
それが何かを言われるよりもいたたまれない。
こういう言い方はしたくはないけれど、彩音はこれまでだってそういうことをしてきたってこともあってゆめも怒りはしても彩音なら仕方ないと考えていると思う。
でも、衝動的にしてしまう私は初めてで、もしかしたら幻滅でもしているのかもしれない。
「……反省してる?」
長い沈黙のあと、ゆめは短く問いかけた。
「そ、それはもちろん。本当に申し訳ないって思ってるわ」
「…………ならいい」
「え?」
ゆめはそういうと考えられない行動にでた。
なんとさっきと同じように私に体を預けてきたのだ。
「……ぎゅってしろ」
「う、うん」
数十分前に私が劣情を催したのと同じ格好になりゆめは再びアニメをかけ始めた。
「ゆ、ゆめ?」
とてもさきほど襲われた人間の反応には思えない。
「……反省してるなら、それでいい。美咲は彩音と違ってちゃんと反省するだろうから」
「ゆめ……」
短いながらそこには私への全幅の信頼があって
(……これは、裏切るわけにはいかないわよね)
と嬉しく思いながらゆめの頬にキスをするのだった。