「……んみゃ……あみゅ、がぅ」

 とりあえず寝ちゃったゆめをあたしたちはベッドに寝かせて、妙な雰囲気の中あたしたちはテーブルの前に座った。

「さて、それで彩音は何してくれるのかしら」

 美咲はもう怒ってはいないみたいだけど明らかにあたしとゆめのキスを気にした発言をする。

「な、何って……」

 確認するとあたしは別に美咲とキスするのが嫌なわけじゃない。むしろ、……その……す、好きって言ってもいいけど、あたしは自分でも意外だけど雰囲気とかを気にするっていうか、まぁこの二人に迫られるとそんなのお構いなしにされたりするけど、じゃなくて。

「やっぱり、彩音はゆめとキスできても私とはできないのね」

「別にそういうわけじゃないっていってんでしょ」

「それに、さっき私がゆめとキスしてなんとも思わなかったの?」

「なんともって……」

(やらしいなぁとは思ったけど……)

 数分前の二人のキスを思い出す。

 美咲とゆめの唇が重なって、時折隙間から二人の舌が絡むのが見えて……っは! あたしはなにかんがえてんの!!

「と、とにかく、もうそんなのする気分じゃないでしょ!

「つれないわね。クリスマスだっていうのに」

「あほなこと言ってないでケーキ食べようよ。溶けちゃうでしょ」

「ケーキ、ねぇ」

 あたしはもう話を打ち切りたくて美咲の持ってきたケーキを小皿に取っていて、美咲が何かたくらむ顔をしているのを見ていなかった。

「そうね、食べましょうか……」

 しかも最初美咲は普通にケーキをとってフォークを掴んだりなんかしたからあたしは警戒を解いてて、

「一緒に、ね」

「は……? んっ!!?

 急に迫ってきた美咲に唇を奪われ、いっきに舌を入れられた。

(ケー、キ?

 暖かな舌と包まれ冷たくて甘い塊が美咲の舌と一緒に口の中を這い回る。

「んっ、んんー!!

「んっ……ちゅぷ、くちゅ」

 二人の熱さでアイスケーキが段々小さくなっていって代わりに口中に甘さが広がっていった。

「っん、はぁ」

 さっきのゆめのキスなんかとは比べ物にならないくらい甘いキスをさせられたあたしの頬に美咲のアルコールとは別の甘い息が吹きかけられた。

「ぁ……な、何すんの!

 あまりの甘さに一瞬ぼーっとしちゃったあたしだけどちゃんと美咲に食って掛かった。

「何って一緒にケーキを食べただけじゃない。んっ……ぺろ」

 そういいながら舌を伸ばして溶けて溢れたケーキを舐め取る美咲。

「あたしはいいなんていってないでしょうが」

「私に内緒でゆめとキスしてたんだからこれくらいは当然なのよ」

「は、はぁ!?

「ゆめとした分くらいは私ともしなさいってこと」

「な、なんでそうなんの」

「じゃ、もう一口……」

「はむっ!?

 あたしが抗議している途中だってのに美咲はフォークに突き刺したケーキを口に含むとそのまま口付けていた。

(って、あたしの意向はお構いなし?)

 ……本当に美咲とのキスが嫌なら強引にでも引き離すんだけど……

「ん、ちゅ…あむ……ふぁ」

「ふぁ…ん、っ……ちゅぷ」

 あたしだって美咲とのキスは嫌じゃないから結局美咲のされるがまま。まぁ、ケーキはおいしいけど。

「っは、ん……」

 ケーキが溶けるとおしまいだからキスはそんなに長くなかった。

 甘すぎるキス。なんだか冷静になるとバカなことしてるみたいだし、美咲にも呆れてるけど、もしかしてそれを受け入れてるあたしの同類なのかな。

 まぁ、なんにせよゆめとした分、二回のキスを終えたあたしは一区切りと思って、美咲から離れようとするけど。

「それじゃ、もう一回」

 したところで美咲が不穏当なことを言ってきた。

「ちょ! ゆめとした分なんでしょ。ゆめとは二回なんだから」

「それで済ますとは言ってないわよ。はむ」

 美咲がケーキを口に含むとまたあたしとの距離を縮めてくる。

「ふぁい、彩音……ん」

「だ、だからしないって」

 美咲から離れようとしたけど美咲はそれより早くあたしの体を押さえつけると三度目のキスだか口移しだかを

「ちょ、だからぁ」

 あたしは美咲に押さえつけられて満足に動かせない体でわずかな抵抗をした。

 キスするのだって結構疲れるんだからそうそう何度もしてられな……

「っ! ひゃん!!

「あー、落ちちゃったわね」

 美咲の口付けを逃れようとしていたその最中、アイスケーキが美咲の口から落ちてあたしの服の隙間に入り込んだ。

「んっ……な、なにすんのよー」

 つめたー。なんだかんだで体が熱くなってたから余計に冷たく感じる。

「彩音が抵抗するからいけないんじゃない。でも、責任は取ってあげるわよ」

「んっ、せき、にん……?」

 なんか今胸あたりにあるアイスなんかよりもはるかに冷たい悪寒が……

「ちょ、ちょっと!?

 美咲はおもむろにあたしの服を胸より上にまでずりあげると肌を露出させて

「ふふふ……いただきます」

「っぁん!

 あたしに見せ付けように舌なめずりをしてあたしの体に吸い付いてきた。

「ちょ、とぉ……ゃん!!

 服が腕にひっかかってたあたしはバランスを崩して床に倒れこんだ。

「ふふ、可愛い声。下着も可愛いわよ」

「う、うっさい!! ん、はぁ……」

 抵抗しようにも腕にまでめくられた服が腕に絡まって起き上がることすらできない。

「ん、はむ……れろ、ちゅ」

 美咲が胸の少し上くらいに落ちたアイスケーキを舐めてくる。

 っていうか、溶けて少し肌についたのはあっても塊を取っちゃえばいいだけなのに美咲はそれを舐めてあたしの肌を滑らすだけ。

「んっ、み、さき……ふ、ざけて、ないでよ……はぁ、ぁ」

「んっ……ぺチュ、ちゅぱ……ちゅぅう。ペロ。おいしいわよ、彩音。んっ、もっと。はむ」

「って、も、もういいって、ば」

「だめよ、まだまだ。こんなべとべとになっちゃってるじゃない、全部綺麗にしてあげるわ。はむ……ちゅ」

「そ、それは、あんたがしてんでしょ」

 さっきから美咲はアイス食べてたんだから美咲が舐めれば舐めるほどベトっとした唾液がついてきて終わりがない。

「ちゅ…レロ、はむ。ちゅぅう……ペロ」

「はぁ、っはぁ、っ〜〜」

 もうアイスの冷たさはなくなって美咲のねとっとした暖かさがあたしの肌を蹂躙する。しかもどう考えても舐め取るための動きじゃない。

 ねっとりと舌全体を押し付けてきたり、無駄に肌に吸い付いたりしてくる。

「っは、ぁ……い、いい加減に……」

 ちょっと前のゆめとのキスも影響してかほっぺが真っ赤になっていくのがわかった。あまりに場の雰囲気が甘すぎて、油断するとこのまま流されちゃいそうなくらい。

「だぁめ」

 美咲は顔を上げると、てらてらに濡れた唇を舌で舐め取る様をあたしに見せ付けてくるとあたしの心の砦がまた一つ脆くなっていく。

「ん……こっちも」

「ちょ、み、美咲……そこは…ちがっ……ん」

 美咲の舌が胸を過ぎ去ってお腹に来る。そっちにまでアイスがきてなかったことは明白なのに。

「んっ……はぁ、…っ」

 お腹のあたりは普通に胸や他の肌を舐められるのとは違う気がする。

 なんだかきゅうっとくすぐったりような切ないような不思議な感じがしてその感覚にあたしは身をよじらせた。

「んちゅ…ふふ、彩音ってほんとおいしいわね。こんなに甘くて……はむ…ちゅぅ」

「はぁ、はぁ、あ……あ、まいのはあんたの頭ん中でしょ」

 まだ抵抗する心がはっきりあるあたしは憎まれ口をたたくけど美咲にはそんなのも意味ないらしい。

「これ、邪魔ね」

「へ? ちょっと!?

 腕の途中で止まっていた服を美咲は引っ張ると完全にあたしの上半身をブラだけにさせた。

「んっ…可愛い…ペロ、ちゅ、ちゅ…あむ」

 服を脱がせた美咲はそのまま今度はほっぺをペロっとなめてくる。

「っはぁ、もう、あんた、は…んっ」

「ふふふ、大好き、ん…はむ、ペロ、れろ……」

 いつのまにか頭を抱かれていて、耳たぶを甘噛みされ。なぞられる。

「ん、んん……ね、そろそろ……はぁ」

 それがまるで心を直接舐められているような気にさせられたあたしは、自由になった手で美咲の体をわずかに離すと自分でも潤んでいるとわかる瞳で訴えかけた。

「ふふふ、そうね。じゃ……」

 美咲がわかってくれたのだと一瞬安心したあたしは警戒を解いてしまい、

「あむ…ちゅ、くちゅ」

 再度迫ってきた美咲に唇を奪われた。

「ちゅぷ、くちゅ……あやね、んっ……好き、じゅぷ、ちゅく」

 暖かくて甘い美咲の舌があたしの舌に絡み付いてあたしの心はまた美咲にとらわれていくけど、

「っ!!?

 半ば抵抗をあきらめ達観したあたしは少し視線を他に移すと容認できないものを見つけ、美咲から逃れた。

「っぱぁ! あっー、もう! ケーキ溶けてんじゃん!

 実はかなり楽しみにしていたそれを食べられなくさせられたあたしは強引に美咲を引き剥がしてこのクリスマスの魔法にかかった夜を自分で台無しにしちゃうのだった。

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……こんな終わり方ですみませんw どこかでとめないと年齢制限かかっちゃいそうでしたし。……ゆめの寝てる横でw あと、ゆめを起こしたままにして、彩音の上に落ちたケーキを一緒に食べたりとかかんがえたりもしたんですが……それもあっち方面に行ってしまいそうだったので、ここまでで自粛しました。全然できていないような気もしますが……w とにかく少しでも楽しんでいただけていたら幸いです。

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