昔、三人で遊ぶっていったら誰かの家に行くことが多くて、それは大体一回ごとに変化してたけど、あたしと美咲が一緒に住むようになってからはゆめが来ることが多くなっていた。

 まぁ、そんなこと言っておいてなんだけど今回はあたしと美咲がゆめの部屋にお邪魔して今日はお泊りの予定。

 泊まるからって別に特別なことはしなくて、ベッドだったり机だったり、床だったりと各々好きなところで好きなことをする。

 んで、そろそろお風呂の入る時間になったころ。

「……彩音、今日お風呂一緒に入る」

「はえ?」

 ちょうど美咲がお風呂入っている時間に、突拍子もなくゆめがそんなことを言ってきた。

「な、な何いってんのゆめ」

 机でパソコンを使ってたあたしはいきなりなゆめに問い返す。

「……彩音とお風呂一緒に入るって言った」

 ベッドにぺたんと座ってるゆめはそのままの言葉を返す。

「じゃなくて、なんでそんなこと言うかってきいてんの」

「……彩音とお風呂入りたいから」

 ってそれは理由になってないような。

 いや、なってんのかな。一緒にお風呂入るのにそれ以上の理由ってない気もするし。

「……前、私のお願いなんでも聞いてくれるって言った」

「え、と……」

 それってキャミソールのやつのときのかな。確かにそんなこと言っちゃったけど、どうせゆめのことだからパフェおごれとかそんなんだと思ってたのに。こんな……

 つか今はここにいないけど美咲だっているってのに。

「……約束は約束」

「えーと……」

 てか、美咲のことは置いておいといてもそんなの普通に恥ずかしいっての。

「…………」

 ゆめは疑うような目であたしを見てる。

 まぁ、確かに約束はしたし? 恥ずかしいけどゆめとお風呂一緒に入りたくないかって聞かれれば興味あるし。別に今までだって一緒に入ったことはあるんだし?

 まぁ、美咲に絶対にばれちゃうのはあれだけど、そこはともかく。

「……………」

 う、だからその目やめてって。

 なんか最近なんでか知んないけどゆめがあたしを見る目が不信っていうか、どうもゆめの中であたしの信頼がだいぶ落ちてるっぽいし言うこと聞いたほうがいいのかな。

 んー、でも一緒にお風呂ってのはさすがに恥ずかしいよね。この分だと、また体洗えとか言われそうだし、いやそれはそれでいいけどね。

 なんかあたしとしても何かがあればな〜。

(そういえば……)

 あたしはなんとなく今日パソコンでみた画像をきっかけにあることを思いついて、

「了解。お風呂一緒にはいろっか」

 了承の旨を伝えていた。

「……うん」

 恥ずかしそうにうなづくゆめはどこか嬉しそうでもあって

「でさ、あたしもひとつお願いがあるんだけど……」

 あたしの提案なんかに耳を貸しちゃうのだった。

 

 

 私は彩音のことをそれこそ赤ん坊のときからみ続けている。だから彩音のことはゆめ以上にわかる自信があるし、ちょっと表情とか挙動を見れば彩音が普段と違うことを考えているのもわかる。

「お風呂出たわよー」

 一番風呂をいただいていた私は戻ってくると、

「うぃーす」

(……?)

 彩音の変化に気づいた。

 もう彩音はお風呂の準備をしているようで、何か邪なものを感じる。

(ん? ゆめも?)

 見るとゆめもすでに着替えを抱えている。

「何で二人ともお風呂の準備してるの?」

 彩音の変化は気になったけれど、とりあえず一番気になったことを口にした。

「……一緒にお風呂入る」

「……ふーん」

 ……なんでいきなりそういう話になってるのかしら。

「いや、ゆめがどーしても一緒に入りたいっていうからさ〜」

「その言う割にはずいぶんと、嬉しそうじゃない」

 まる見えなのよあんたの気持ちなんて。

「い、いや、別にそんなんじゃないよ?」

 ってその言い方はないでしょう。

「……彩音」

 ほら、お姫様が早くもご機嫌斜めじゃないの。

 ぎゅっとゆめが着替えを抱く腕に力を込めて抱きしめるのが見えた。

(ん……?)

 そこにパジャマとは違うものが見えたような気がしたけれど、今の私はゆめよりも彩音のほうに気が向いててそこまでは深く考えなかった。

「あ、い、いや、もちろん嬉しいよ。当たり前じゃーん」

「…………」

(絶対なにか企んでるわね)

 そわそわというか、わくわくというか、とにかく落ち着きがない。

 ……まぁいいわよ。ここで何か言ったところで馬鹿みたいだし。

 何したか後で聞いて、その分何かさせてやるんだから。

「ささ、ゆめお風呂いこー」

「……うん」

 彩音がゆめの背中を押して、部屋から出て行こうとする。

 なんか、ゆめが誘ったって言う割りにはゆめがあんまり嬉しそうじゃないような。

(………って、やっぱり、あれ……)

 不思議に思っていた私はゆめの着替えの中にあるものを見かけ、さっきのが気のせいじゃないことを九分九厘思うけど、

(……そんなわけないよね)

 いくらなんでもありえない気がして、今はあまり気にしないようにするのだった。

 

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