水色の浴槽の縁に手をのせながらあたしは浴室のドアを見つめていた。

 白を基調に作られているそれは多くのお風呂でみるように半透明で脱衣場の様子がなんとなく見れる。

 そこに人がいればもちろん、その人影くらいは見えちゃう。

「ねーゆめー。まだー?」

 あたしはそこに映る小さな人影に話しかけた。

「…………」

 返事はない。

 代わりにごそごそとなにやら動いているのだけは見えた。

「…………今、いく」

 十秒もかからないでゆめは【準備】ができたのか、小さくそう伝えてくるとお風呂のドアを開けた。

(わーひ)

 内心すでににやーっとしながら、臆面もなくその想像に浮かべたゆめの姿をみつめ

「……って、なんでバスタオルなんて巻いちゃってるの」

 実際に白い壁に囲まれる浴室の中に入ってきたゆめは想像と違う姿だった。

 ゆめの体にはちょっと大きいバスタオルを体に巻いて、その下にある平坦な体と、あるものを隠している。

「……………」

 ゆめは自分から一緒にお風呂に入りたいっていったくせに、お風呂のせいじゃなく顔を赤くしていて少しだけあたしのことを責めるような目をしていた。

「ほらほらー、はやくバスタオルなんかとってよ」

 あたしはバスタブから体を伸ばして可愛い可愛いゆめの体を秘匿しようとする布を引っ張った。

 おっと、剥ぎ取ろうとしたわけじゃなくてね。ちょっと引っ張っただけだよ。あたしがゆめに無理やりそんなことするわけないしね。それに、自分から脱いで、じゃないはずしてもらったほうがどきどき感があるし。

 まぁ、なんだかゆめが必死にタオルを押さえつけてるような気はするけど、それはきっと気のせいだよね。

「あ……」

「………」

 グイっとタオルを自分のほうへ引っ張って、あたしの手が届かないところへ逃げたゆめは、さすがにお風呂から出て行けるはずもなく恥ずかしさの中に怒りをちょっとまぜたような表情であたしを見ていた。

「……よく考えたおかしい」

「ん? 何が?」

「……彩音は私のお願い聞いてくれるって言ったんだから、私が彩音のお願いを聞く必要はない」

「うん。あたしもそう思うよ」

 あたしがお風呂に入れというゆめにある提案をした。正直言ってだめもとっていうか、うまくお茶を濁すつもりの言葉だったんだけど、ゆめちゃんてばそれを了承しちゃうもんだから、あたしとしてはそれをしてくれるんなら理性なんてふっとんじゃったね。

「…………彩音の馬鹿」

「まぁまぁ、それはおいといてさ、着てるんでしょ? ほら、あたしなんて裸だよ? ゆめよりも恥ずかしいかっこしてるって」

 人にとって何か見につけているのと裸じゃ普通は裸のほうが恥ずかしい。

 でも、ここはお風呂なんだしある意味裸のほうが正しい。まして、こんな時期に今ゆめがしてる格好なんて言ったらそりゃもう恥ずかしくてたまらないと思う。

「…………………………」

 もう来ちゃってる上にお風呂にいる以上ずっとそうしてるわけにもいかないと観念したのかゆめは少しするとバスタオルに手をかけた。

(……おぉ)

 心の中で感嘆の声をあげるあたしの前でゆっくりとそれをはずしていく。

「…………」

 あたしや美咲の前じゃ表情はそれなりに変わるとはいえ、それでも動き自体少ないゆめが今はかぁと頬を赤くして、瞳には悔しそうな色と恥ずかしくてたまらないといった色を混ぜ合わせている。

 でもあたしが目を奪われているのは

 バスタオルの裏から覗く、紺色の生地。体にぴったりフィットしてるけど、腕もひじも、肩も、足もひざも、ふとももすら露になっている。

 今ゆめが身に着けているもの。

 水にはふさわしいけど、お風呂にはふさわしくない衣類。

「…………はずか、しい」

 本来こんなところで絶対に着ないもの。

 スクール水着と呼ばれるものだった。

 パサと軽い音を立ててバスタオルが床に落ちるとゆめのスク水姿が完全に露になる。

 小学生といっても通用しそうな小柄な体にスクール水着はあまりにも似合いすぎている。

 スラっと伸びた足も、うやらましくなるくらいほっそいふとももも、思わず抱きしめたくなっちゃう肩も、ここで名札でもついていれば完璧な起伏のない胸も、全部が全部魅力的過ぎて

「…………かわいいよ、ゆめ」

 なんてありきたりな言葉しか出てこなかった。

 いつもならこういう恥ずかしいっていうときでもゆめはその中に嬉しさのようなものをにじませるけど、さすがにこれは次元が違うのか目を伏せ、左手で右ひじを押さえながら恥ずかしさに耐えるだけだった。

「……彩音はすごい、変態。……なんでこんな格好させるの?」

「えーと……」

 最近気づいたけど、あたしはゆめの恥ずかしがるところを見るのが好きみたいだし、ゆめがあたしにだけこんなことしてくれるっていうのは独占感っていうか優越感があるし、キャミソールのときも思ったけど、ゆめにはこういうのが似合ってて、もっといろいろさせてみたいって思ったから?

 なんて素直に言うとまた変態とかあらぬ非難を受けちゃうし。

「ほら、学校違っちゃったからゆめの水着見てないし、やっぱり一回くらいは見たいかな〜って」

「……じゃあ、なんでスクール水着なの?」

「え? それは……」

 まぁ、普通水着って言ったらこういうものじゃないよね。別にゆめはスク水以外の水着を持ってるのはもちろん知ってるし、

 つまり

「見たかったから?」

「………変態」

 って、また不必要な非難を受けちゃったよ。

「まぁ、それはともかく。えい!」

「…っ!?

 バシャ。

 あたしは両手でお風呂のお湯をゆめにかけた。

「……な、に」

 突然そんなことをされたゆめは防御できるわけもなく濡れた体で不満そうにあたしを見つめていた。

「お風呂入ってきたんだから体洗わないとねー」

 と、もう一回お湯をかけるとあたしは浴槽から出て、ゆめが逃げられないようにお風呂の入り口に回ってゆめの背中を取った。

「あたしが洗ったげる」

「……水着着たままじゃ、洗えない」

 ゆめは正面から見られるのが恥ずかしいのか体をひねった状態で顔だけをこっちに向けた。

(へぇ、これはなかなか)

 体をひねったせいで水着の腰周りにしわができる。なんかそんなところにすら魅力を感じてあたしはさらに胸をどきどきさせる。

「ふふふ、大丈夫、大丈夫」

 あたしは不敵に笑うとじりじりとゆめによっていく。

「……………」

 と、ゆめはあたしが近づいた分下がっていくけど。あ、下がるっていうかこの場合は前にいくか、あたしに正面向けているわけじゃないしね。

 ま、そんなことしてもここは狭いお風呂の中、

「……ぁう」

 すぐに行きどまって、ゆめは鏡にぶつかって歩みを止めた。

「ふふふ、さーてきれいにしてあげる」

 しかも、鏡の前はシャンプーとかを置くスペースがあって、上半身と下半身の位置がずれている。

 つまりなにがいいたいかっていうと、お尻をこっちに突き出した形になっていて、しかも鏡にゆめの正面が、鏡に手をついているせいで沿った形になっている背中は直接みることができる。

 しかも、さっきかけたお湯のせいでところどころはしみのついた水着に、肌のところどころに滴る雫。

 それはあまりにそそるに姿で、

「……彩音」

 不安そうにあたしを呼ぶゆめにあたしは

「っ〜〜ゆめー!

「…みぁあ」

 思わず後ろから抱き着いていた。

 ムニって胸を押し付けボディーソープをつけていた手をまずはお腹と胸にこすり付けていった。

 しかも

 ペロ

 首筋を軽くなめる。

「……ぅ、にゅ……みゃ、ぅ……み」

 ゆめのスク水に万遍なく手を滑らせていく過程でゆめはせつない声をあげていく。

 お腹、胸、わき腹とまずは水着を部分だけに手を走らせる。水着なんて自分でそこまで意識して触るものでもないから不思議な感触、でもその普段味わうことのない感触もあたしがねっとりとつけていくボディーソープのせいで全部ぬるぬるになっていく。

「……あや、ね……ゃ、ん…ふあ…あ」

 ゆめは体をゾクゾクってさせて、ちょっと苦しそうな声も出していた。

「……ゆめ」

 今の体勢がつらいかなって思ったあたしはゆめの上半身を引き寄せるとそのまま下に体重をかけてゆめをお風呂の床に座らせた。

「……は、ふ……あや、ね?」

 ゆめはそれをあたしがやめるのかと思ったのか、一息ついたような声をだしてあたしのことを見つめてきた。

 でも、そんなゆめの期待なのか、失望なのかはすぐに反対のものに変わる。

「みゅ…!?

 あたしはゆめをそのままうつぶせに押し倒すと、水着のないところに手をはしらせていく。

 左手を背中に押し当てた胸の辺りから徐々に手を走らせ、お尻を通ってふとももに。右手はお腹から徐々に胸のほうに滑らせわきに。

「……へん、たい……ぅみゅ!

 悔し紛れのようなゆめの声を聞きながらあたしは、ふとももとわきを泡まみれにさせるとついに未踏の地へと踏み込もうとする。

 すなわち、

「ぜーんぶ、してあげるからね」

「ふみゅぅ……ぁ、みゃ!

 水着の中へと。

「ん、きつ……」

 わき腹の隙間から胸へと手を伸ばしたあたしはぴっちりゆめの体にフィットしていたスク水の抵抗を受けつつもあたしはゆめの中に手を伸ばしていった。

「んっ…ゃ、ん……やぁ……」

 お腹やふとももとはまた違った手触り、少しだけふくらみを見せるゆめの胸は感じようとすれば感じられるほどの弾力があってスク水とはさまれるのとあいまりあたしに未知の触感をもたらす。

「……ぁ、は…ぁ…だ、め……」

 お風呂の床とあたしの体にサンドイッチされているゆめはくぐもった声をもらし、それがあたしの劣情……じゃない。えーと、ちゃんと綺麗にしてあげたいっていう気持ちを高める。

「……ば、かぁ」

「あ、馬鹿なんてひどいなぁ、せっかく体洗ってあげてるのに」

 ちょっと苦しそうかなって思って、胸を押し付けるのはやめるけどあたしは胸を責め……洗ってあげるのもやめないし、さらにはふともも周辺も撫で回す。

「はぁ…は……ふ、……ぁあ…」

 ゆめの扇情的な声と姿にあたしはここが声の響きやすいお風呂だっていうことも、この家には美咲もいるんだっていうことも忘れてゆめのことを責め立てていっていた。

 けど、

 バシャ!!

 急にかけられたお湯と

「……なにやってんのよあんたは」

 美咲の果てしなく不機嫌な声に心胆を縮ませるのだった。

 

 

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 えーと、すみません……w

 こういう終わり方が多くなっちゃってますよね。

 ……うん、というよりもそれ以前に色々問題すぎな気がしますが……いえ、私ではなく彩音が、ですよ? 

 でも、強引に終わらせないと、年齢制限かかっちゃいそうですし。まぁ、これはすでにそれに近いようなものな気はするのですが……直接何かしてるわけではないので多めに見ていただけると嬉しいです。

 でも、これは……さすがにだめかな……

 っていうか、この後美咲にどうされるでしょうね。それは書く予定ですが、とりあえずゆめのお話しで一区切りなのでまた次の機会に。

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