それはゆめと美咲が仲良くしてた翌日の夜。
夕飯を終えたあたしは片づけを終えるとリビングのソファに座る。
その手には高級なアイス。
この前勝手に……じゃなくて間違えて食べちゃったゆめのアイスよりもお高いもの。
昨日美咲となんやかんやはやってたし、今日も二人でいることが多かった気がするけどあれはよく考えると要はアイスをよこせってことだよね。
だって、あたしは浮気なんてしてないんだし。
大体なずなちゃんは小学生だし、それにこういう言い方はしたくないけど言っちゃえば「仕事上の付き合い」なんだし。
あ、もちろんなずなちゃんのことは可愛く思ってるよ。そういう言い方もできるってこと。
だからゆめや美咲に浮気だなんて事実無根なことを言われる筋合いがない。アイスを上げれば機嫌を直してくれるでしょ。
一応、美咲の分も買ってあげたしあたしってば偉い。むしろ感謝されちゃうんじゃないの。
そんな甘く身勝手な期待を抱きあたしは、ちょうどお風呂から出てきてた二人(あれ? なんで今日も二人でお風呂入ってるの?)に声をかける。
「ねー、アイス食べない?」
「……食べるが」
「ふーん。あんたがちゃんと買ってくるなんてね」
「そこは感心するところじゃないって。あたしをなんだと思ってんの」
「何って、ねぇゆめ?」
「……うん」
(?)
なんかよくわからないやり取りだな。でも二人だけには通じてる感じがしてちょっとむって感じ。
でも、とりあえず今はゆめを取り戻すことが先決だし。
「ま、いいや。とりあえずゆめ来なよ」
ぽんぽんと膝を叩いて、膝の上に招く。
ゆめはお風呂上がりの裸足で可愛らしい音を立ててこちらに近づいてきて
「??」
なぜか美咲と一緒に素通りをされた。
「へ?」
しかも、昨日と同じように美咲がゆめを膝にのせて抱えるように座る。
三つ並べて置いたアイスは当然というべきかとられてしまって?
「え、ちょ、ちょっとなんで。ゆめこっちだよ、こっち」
「……美咲、今日も一緒に食べる」
「そうね」
「え? あの、二人とも? え?」
なんであたし無視されてんの? 感謝されるはずのところだよ?
「はい、ゆめ」
「……ん」
(どうなってんの?)
これが永遠に続くなんてものじゃないってわかってるし、少し時間も経てば前の通りにはなってはくれるんだろうけど、妙に仲良くなって二人にあたしはちょっと面白くないと思いながら一人でアイスを食べるのだった。