昼間だけでは飽き足らず夜になっても私たちは快楽を求め、貪った。
青白く光る月明かりが照らす部屋がどことなく幻想的な雰囲気を醸し出すベッドの上で私は膝枕で眠る冬海ちゃんの髪を優しく撫でる。
(……可愛い)
寝顔が無垢そのもの。
穢れを知らない童女のよう。
けれど、この子はもう戻れない。私と同じように知らなくていいことを知り、私の手によって引き込まれてしまった。
(………可哀そう)
不意にそんなことを思って、今度は頬に手を添える。
そんなことを思っていい資格なんてあるわけがないと知っていてもそう思ってしまう自分がいる。
罪の意識はある。あってもそれ以上に愉悦が勝っている。
こんなことを思う私は狂っているのだろうけれど、他者を支配する喜びのようなものを感じてしまうのはある意味人に備わった当然の感情かもしれない。
それが私は一番してはいけない形で発現してしまった。
だから……あの人、瑞奈先輩にまで手をだした。
(あれも……復讐みたいなものだけど)
私を好きにしようとした報い。自分のために私を玩具にしようとしたことを仕返ししただけ。
そして私は冬海ちゃんへ感じている気持ちが冬海ちゃんだけに対してのものじゃないことに気づいた。私はそういう人間なのだと。
(もしかしたら蘭先輩も同じなのかもしれな……)
と心の中でつぶやいていると
「っ!!」
蘭先輩の切なげな顔が頭に浮かんだ。
やめた方がいいという忠告と、
ごめんなさい
脳裏に浮かぶ顔と再生される声。
それが私を苛立たせていた。