じぃーーー。
この前に悪い人と言う誤解を解いてから少しして。
この日もなずなちゃんの部屋で勉強を見てあげてると、隣にすわるあたしをじぃーっと見つめてくる。
大きくて純粋な瞳がこっちを見てくるのは可愛くてし、頭でも撫でてあげたい気分だけどこの前のことがあるし。
「えーと、どうしたのかな?」
「……あのね、先生って悪い人なんだって」
「へ?」
以前の時を思わせることを言われたけど、前とは少し違う。
それも悪い方向に。
「えと……悪い人じゃないって言ったよね? なずなちゃんも納得してくれたでしょ?」
「うん、でもね。お母さんが先生はやっぱりロリコンで悪い人だって言ったの。特別に仲良くしてもいいけど悪い人なんだって」
「へ、へぇ〜」
あたしってどう思われてるんだ……。
あの人なら面白がってしてるだけな気もするけど。
「い、いや、でもね。あたし本当に悪い人じゃないんだよ」
確かに小さい子は好きだし、見た目はなずなちゃんとそんな変わらないゆめを性的に見たりはしてるけどあれはゆめが特別なだけで普段はあたしは健全な女子大生なわけで、悪い人と言われるのはいい気はしない。
「『本当』なんて関係ないんだよ」
「? どういう、こと?」
「お母さんが悪い人って言ったら悪い人になるの。本当かじゃないの」
「へ、へぇ〜……」
「お母さんがいい人っていうのがいい人で、お母さんが悪い人っていうのが悪い人なんだよ」
「それは……その。素晴らしいご教育で」
「うん。お母さんはすごいの」
なんか若干歪んでるような気もしないけど、それだけなずなちゃんが千尋さんを信頼してるってことだし、一応いいのかな……
いや、悪い人ってのは困るけど。
「あ、でもね、先生」
「ん?」
こっちと手招きをするなずなちゃんになんだろうと素直に顔を近づけていくと、なずなちゃんはそのままこちらに体を寄せてきて
「……私は先生のこといい人だって、わかってるよ」
耳元でそれを囁かれた。
「っ!」
吐息が耳をくすぐって背筋がぞくぞくって震える。
しかも、体を離したなずなちゃんが
「お母さんには内緒だよ」
って照れながら言ってくれるもんだから
(……ロリコンではないんだけどねぇ)
あまりのいじらしさに胸をキュンと高鳴らせるあたしだった。
あ、もちろん浮気とかじゃいっさいないからね。
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