「うぅ…む。ちゅ、ちゅぱ」
頭がぼーっとする。
「はぁ……美咲、可愛い」
指を絡められて、体を抱かれて
「ふぁ……あ、彩音……ちゅ」
唇を重ねる。
「あむ……んむ、ちゅる、くちゅ」
舌を絡めると彩音と私が一つになってるみたいな錯覚に陥って、その心地よさに頭が蕩けて思考もおぼつかなくなる。
「ふぁ……」
キスを終えると自然と彩音と視線が重なる。
紅潮した頬、潤んだ瞳、濡れた唇。
そのすべてが媚薬のように私の心を蕩けさせる。
「ね、美咲。もっと……」
もちろん、声もぬくもりも全部が私を狂わせる。
けど、
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ」
ここが彩音と私の部屋だって言うのならいくらでも彩音の求めには答えるけど、今、ここはまだ学校でさっき仲直り? をしてからまだ数分しか経っていない。
私は手をつないで帰ろうと思ったのに、彩音はいきなり「キスがしたい」とか言ってきて、そのまま流されてこんなことになってる。
「えー。何?」
「こ、ここでしなくなっていいでしょ」
「かもだけど、したいって思っちゃったんだもん。さっきの美咲すっごく可愛かったし」
「っ……」
「それに、大分寂しくさせちゃったみたいだから、そのお詫び」
あぁ。
本当にこのバカは……このバカには勝てない。
「んっ……ちゅぷ。クチュ、チュプ」
私は意図的に彩音をからかったり振り回したりするけど、このバカはそんなことをしなくても私のすべてを包み込みさらっていく。
気持ちいい。
「あぁむ…ちゅ、ぷ……ぅぅん」
舌を絡めるのが、舌を絡められるのが、彩音の舐めまわすのが、私の中を舐めまわされるのが、触れ合う体が。
全部気持ちいい。
「ふぁ……あ」
離れた唇から銀色の橋が架かって、ゆっくりと床へ落ちる。
(っ……)
視覚で行為を確認すると余計に羞恥と背徳感が……
「あは」
「?」
いきなり彩音は楽しそうに笑って私は首をかしげる。
「今の美咲の顔、すっごく可愛い」
「っ」
彩音にこんなこと言われるのは慣れきっていることのはずなのに……
(どんな顔、してるの?)
彩音にどんな風に見られてるのかそれがすごく気になって、恥ずかしくなる。
一つわかるのは真っ赤になっちゃってるってことだけ。
「っ……」
それを自覚すると、それもなんだか気恥ずかしく思わず彩音から目をそむけた。
「あ」
どうもそれが彩音の琴線に触れたらしい。
一言だけで彩音が喜んでるのがわかる。
「可愛い、美咲」
「っ〜〜。うっさい。バ……んっ」
最後まで言えずに唇を奪われた。
「ぅうむ…んちゅ。ぷぁ…」
バカで、鈍感で
「はぁ…んちゅ。くちゃ」
でも、変なところで鋭くて。
「ん……美咲」
誰にでも優しくて、
「ぁ……彩音」
でも、私に一番優しくて、
『……好き。んっ……』
ちょっと強引なところもあって
「はぁあ……ん、ちゅ」
そんな強引さも心地よくて、全部大好き。
彩音の全部が、大好き。
(っ……何、泣いてるんだか)
歓喜に涙する自分をどこかおかしく、でも当然かなとも思いながら私たちは下校を告げるチャイムが鳴るまでお互いを感じあった。