渚が手を握っている。
暖かな手に力を込めて私の手を握っている。
渚が目を閉じている。
小さくて愛らしい瞳を閉じて、唇を私に差し出すようにして目を閉じている。
どうすればいいの?
わからない。
渚が言ったこと、ちゃんと聞いていたはずなのに。
わからない。
(貴女……貴女は……?)
私は水谷渚。貴女を想う、貴女が想う、貴女の恋人です
わからない。
今私は何をすればいいのか。
何をしていいのか。
わからない。
(でも……)
私は渚の手を振りほどく。
振りほどいて指を絡めていく。握られていた手と、床の上で重ねた手に。
私も目を閉じる。
闇の中、繋いだ手のぬくもりの方へ私は近づいていく。
想いを抱えて。
言葉じゃない方法で渚へと届けるために。
そして………