しばらく経って。
「……んぅ……くぅ……すぅ」
(可愛い)
何度も何度も同じことを思う。
二人では狭いベッドの中で体を寄せ合っている。
渚は先に少し寝てたくせにやっぱり疲れてたのか意外に早く寝てしまった。
もうちょっとベッドの中で色々からかってみたかったけどそれができなかったのは少し残念ね。
もっとも意識してたのか、無意識なのかは知らないけど微妙に私との距離を何度も調整してたのは面白かったけど。
(って、こんなことは貴女に失礼かしらね)
私は渚の髪を軽く撫でながら謝った。
渚がそうやって意識してくれること。それは渚がそれだけ私のことを本気で好きでいてくれるからだもの。
恋人っていうことを本気で向き合って前に進もうとしてくれてる証だもの。
昔ならそういうことを少し寂しくも思った。別れが近づいて、もっと渚の好きっていう証が欲しいって思った時期があったのも本当。
けど、今はそんなこと微塵も思わない。
渚と心から通じ合ってるって、お互いに愛し合っているって自信を持って言えるから。
離れてる時は寂しくても、渚のことは近くに感じられてた。一緒にいられればなおさら嬉しい。
いつもどんな時も渚のことを好きって言える私がいる。
だから、寂しくない。
「……んぅ」
「っ」
タイミングよく渚がこちらに体を寄せてきた。
「ふふ」
そんな偶然も運命に感じて、私は渚の顔へ手を伸ばすと。
「好きよ、渚」
髪をかきあげて、額を露出させると
ちゅ。
可愛らしいおでこに口づけをした。
「……お休み」
そしてしっかりと渚を抱き寄せると私もその幸せに包まれながら眠りについていった。