今日はあのままゆめの家にお泊りが自然な流れなんだろうけどそういうわけにも行かないのが悲しいところ。
ご飯だけはゆめの家でごちそうになったけど、その後はゆめのお母さんに送ってもらった。
今日はゆめともっといるべきだったんだろうけど、思いのほかゆめは帰らないでというそぶりは見せなかった。終始嬉しそうに笑ってあたしのあげた指輪を見てるのが印象的だったかな。
(あんなに喜んでくれるならやっぱ、もっとちゃんとした形でしたかったな)
ゆめにとってそれは重要じゃないっていうのはわかってるんだけどもっとかっこよくしたかったっていう見栄はある。
まぁ、あんなに喜んでもらえたんだからよしとしておこう。
これからもっとゆめのためにしっかりしなきゃとも思えたしね。
んで、ゆめのことはそれでいいんだけどあたしにはもう一つ大きなすべきことがある。
それはもちろん
「ね、美咲」
寝る前の時間。二人であたしのベッドに上がってだらだらとした時間を過ごしてたけどあたしはそんな美咲を呼ぶ
「なに?」
本を読んでた美咲は顔を上げてあたしを見る。
これから何をされるのかも知らずに。
「手、出して」
「? 手?」
美咲はあたしがなんでこんなこと言って来てるのかわからず、たまたま近い方の右手を差し出してくるけど、それじゃ意味がない。
「じゃなくて、左手」
「? 一体なんなのよ」
口では文句を言いながらも美咲は言われたとおり左手を差し出してきて
あたしは事前に持っていた指輪をその薬指にはめる。
「はい。プレゼント」
「…………」
美咲もゆめの時と同じく初めは何が起きたのかわからないと言った感じにその指輪を見つめて
「は!?」
同じく調子の外れた声を出した。
「な、ななな………」
そうしてみるみる顔を赤くしていく。
(お、美咲可愛い)
顔を真っ赤にして口を半開きにしたままわななかせてる。
ここまで動揺する美咲をみるなんてめったにない。
「ど、どういうことよこれは」
息を荒くしながらそれでも美咲は聞くべきことを聞いてきた。
「どうって、プレゼント」
「だ、だからっ……な、なんで薬指にするのよ」
「それは……まぁ、そういう意味を込めてってこと」
「っーーー」
美咲はあたしの一言に目を見開いて驚いた後、恐る恐ると言った感じに左手を顔の前に持って行ってまじまじと見つめた。
「んと、正式なのは大人になってからちゃんとしたやつでするつもりだよ。ただ、ちゃんと言っておこうかなって思って」
今回はゆめの時の反省も加えてちゃんとあたしの気持ちを伝えることにした。
「美咲」
ゆめにプロポーズしたときのように真剣な目をして美咲の左手を取る。
「あたし美咲のこと愛してるよ。小さいころからずっと一緒で、美咲がいなくなるなんて考えられない。っていうか絶対に嫌だし何があったって美咲のこと離さない。ずっと一緒にいたいの、これまでもそうだったように、これから先楽しいこともつらいことも美咲と一緒に全部を過ごしていきたい。それこそ病める時も健やかなる時も、この命尽きるまでね」
ぎゅっと美咲の手を握ってあたしは美咲を見つめた。
「あやね……」
「わっ!?」
ボフン!
美咲はいきなり抱き着いてきてベッドに押し倒してくる。
「っ……大好き……大好き」
あたしの胸に顔を埋めて幸せを噛みしめるようにそう言ってきた。
「彩音……大好き…大好き…大好きぃ……」
何度も、何度も。
「……美咲」
あたしにとってこの反応は予想外だったけど、子供みたいに大好きって繰り返す美咲がたまらなく愛しくて両手でぎゅっと美咲のことを抱き返して。
「あたしもだよ。美咲、愛してる」
その言葉に万感を込めた。
そして、あたしたちは生涯の相手のことを感じあう。