「綺麗よ、渚」
「……っ」
服を脱がし合った私たちは肌着だけを身に着けた姿で先ほどのようにお互いに向き合っている。
「それに」
「きゃ」
瑞々しい肢体と豊満な胸元を見せつけながらせつなさんは、私の脇腹に指をはわせブラへと触れる。
「それ、つけてくれてるのね」
というのはここに引っ越した時にせつなさんが勝手に手にしていたフリフリの下着。
「ぐ、偶然です」
「そう。なら運命かしら。この日に貴女を求めたんだから」
「……全部私の意志ですよ。運命なんて言葉で片づけないでください」
それはまだ二人が天原にいたときの懐かしい会話。偶然かもしれない。でも、受け入れたのは私の意志だから。
「そうね。んっ」
せつなさんが軽く頬にキスをする。
「このままでも可愛いけど……もっと、渚の全部が見たいわ」
「………………はぃ」
答える私の声はか細い。覚悟をしていても……怖さ、のようなものはまだ私の中に存在するから。
せつなさんはそんな私を安心させるように笑うと背中に背を回してホックを外すと、ブラを取り去る。
反射的に腕で隠そうとした私だけれど、その前にせつなさんが
「可愛い」
なんていいながら、その長くて美しい指を私の胸に沈みこませた。
「お風呂とかじゃ見てきたけど、触るの初めてよね。ふふ、本当にちい……可愛いわね」
「……どうせ、小さいです」
せつなさんの気遣いに口を尖らせるけれどそれどころじゃなかった。
(せつなさんの……手……爪の先まで綺麗)
この手が、指が……これからどうなるのかを想像すると、うまく想像できずにでも体の奥から感じたことのない熱が確かに湧き上がってくる。
「…………渚」
せつなさんもうまく言葉が出ないのかそれだけを口にして……
「んぁっ……」
私の小さな頂にあてた手を動かし始めた。
最初は撫でるように優しく、次第に指に力がこもって、その行為に私は頭をくらくらとさせる。
「ふぁ……あ、せつ、なさ……っん。ぁあ」
体を駆ける未知の感覚。せつなさんの触れたところが私の……心の奥の何かに触れて体を疼かせていく。
「ん……ぺろ」
「ふ、あ! んぁ、舐めて……」
「固くなってるわよ。気持ちいいのね、嬉しい……んっ」
「ぁあ、ぁん。舐めて……す、っっちゃあぁっ!」
少し前に私の口の中を堪能していたせつなさんの唇が今度は私の乳首に吸い付いて、
(なめられてるのも、吸われてるのもわかっちゃうっ……)
恥ずかしくて見れないけれど、せつなさんの舌が私の乳首をツンとつつくのも、ちゅぅっと音を立てて吸われるのもわかる。
「胸、感じる? 気持ちいい?」
「んぁ……っ……は、はい……気持ち、いいです」
気持ちいい。
私の感じる気持ちはそう表現するしかない。せつなさんに愛されていること。それが恥ずかしくて、気持ちよくて……何より……嬉しい。
「ふぁ……っ」
私の答えに満足したのかせつなさんは今度は口にキスをして、胸は変わらずに責めなれる。
「ちゅ……ちゅくぁ、んちゅ……んぷ。ふ、ぁ」
ただでさえキスで頭がとろけそうなのに、胸をいじられる快感が合わさって考えることができなくなる。
「ゃう、せつなひゃ…あんぁ、あぁつ」
ただ夢中でせつなさんに応えて舌を返す。
乳首が指でもてあそばれるのが少しくすぐったくてでも、その刺激が体の芯を刺激する。
「ふ……ぁ……ぁ」
「渚って感じやすいのね。そんな顔して」
「あ……ぁっ」
恥ずかしいことを言われているし、されているんだとはわかっている。でもせつなさんの言葉を聞いているとすべてを委ねたくなって、その自覚に私は無意識に体をくねらせた。
「こっちも触ってほしい?」
目ざとくそれを見つけたせつなさんの声が今はすごく意地悪に響いた。
「……初めてなのにエッチよね渚って」
「だ、って……せつなさんにしてもらえるのが……私……」
なんていえばいいのかよくわからない。でも体の中に火がついてしまっていてせつなさんのことを求めずにはいられない。
「なら、こっちはどう?」
せつなさんの手が私の下半身……ショーツの上に伸びる。
そこは
ちゅく。
生地の上からでもわかるくらいに濡れていて、それは自分でわかってはいたけれどせつなさんに知られたっていうことが恥ずかしすぎて顔を覆いたくなった。
「ぁ……」
(せ、せつなさんびっくり、してる?)
わ、私が思ってたよりもエッチな子だって呆れちゃったの?
でも……そ、そんなの私だってびっくりしてる。自分でしたのとは全然違ってて、せつなさんに触られてる、愛してもらってるっていうことが何倍にも快感を高めているの。
「と、とりあえず、脱がせちゃうわね。このままでも気持ち悪いでしょ」
「ぁ……」
せつなさんの指がショーツにかかってゆっくりとショーツが太ももを、ひざを、足首を通っていて、私は何も身につけなくなった。
本当にすべてをせつなさんにさらしてしまった。
「っ……」
言葉がでない。沈黙は数秒のはずだけど、その数秒すら気まずく感じてしまって、私は……
「し、して……くだ、さい。私の、こと……き、気持ち、よく……あ、愛してくだ、さい」
たどたどしいおねだり。こんなこと言うなんてまるで本当にいやらしい子みたいだけれど、でも沈黙の方が耐えられない。
「え、えぇ」
私の声に手繰り寄せられるようにせつなさんの手を女の子の部分に当たると、ぬるっとした液体が指に体んでぬちゅぬちゅと耳をふさぎたくなるような音が立つ。そのまませつなさんは指を押し付けるようにしてマッサージをするみたいに動かす。
「ふ…あぁ」
声が出ちゃう。音が恥ずかしいからなのが一番の理由だけど、でもせつなさんからもたらされる快感が、身体の中に抑えられずに言葉になっているのも間違いない。
「これがいいの?」
「わ、かんない、です。でも……ふあぁ」
ピリピリと背筋をかけていく不思議な感覚。私が知らない未知の快楽。
「え、っとなら、こっちは、どうかしら」
「ふああ、それは……っ。ぁぁああ」
せつなさんの指が……あ、あそこを包んでいる包皮を剥いて、直接こすられた。
「ここ、したことある?」
「ない、です……なんだか、怖くて」
「そう、じゃあ渚ですら触ったことないところに触ってるんだ。なんか不思議な気持ち」
「っ……ぁあ、ふ…っああ」
言いながらもせつなさんは指を動きをやめてくれなくて、自分を含めて初めて指が陰、核をこする刺激に私はあられもなく声を上げた。
初めての私には強すぎる感覚。
「ぁあ、っ……」
それだけじゃなくて性器を撫でるゆびも変わらなくて強すぎる気持ちよさとちょうどいい気持ちよさが混ぜ合って頭の中が何かに染まっていく。
(せつな、さん……)
そう、私の頭の中が大好きな人でいっぱいになる。目を開けても、閉じてもせつなさんのことしか考えられない。
私の全部がせつなさんで埋め尽くされていく。それは初めての感覚だけど、でも決して怖くはなくて
「ふぁ、んっ……ぁあ、せつなさん……せつなさん……ぁあ」
もう考えての言葉じゃない。ただ求める。
大好きな人を、愛する人を。これからも愛していく人を。
「好き…あぁ、すきです……ぁあ」
体が震える。背筋がピンと張り詰める。
「あい……して……ください……せつなさんの好きに、私のこと……ぁぁ」
「えぇ」
求める。何が何なのかもうわからない。でもせつなさんが愛してくれるすべてをことを受け入れたくて、私は初めての瞬間が近いことも自覚できずに熱い吐息を漏らしせつなさんを求めた。
「あぁつ、っあ、こ、れ……、ふぁ…、しら、ない……なに…あぁあ」
私に応えるようにせつなさんは指を動かしながら再び胸のぷっくらと膨らんだつぼみに口づけて愛してくれる。
上半身と下半身からもたらされる刺激が身体の奥で混ざり合いより大きな悦楽を私へともたらし、私の心にはもうせつなさんのことを考えることしかできなくなる。
それはまるでせつなさんと一つになるようなそんな感覚で、その充足感と
「……愛しているわ、渚。ありがとう」
その言葉に
「っはあ、ぁあ、っ……っくぅ……んんぁああ!」
舌と指と心からもたらされる快感に初めての絶頂を迎えて。
「あ……は……、せつな、さん……」
頭がぼーっとする中、大好きな人に愛されたという幸せ一筋の涙を流し
「……大好き、です」
その想いを伝えるのだった。