「んっ、ふぁ……んっ……ちゅ…ぷぁ…」

 彼女を優しく抱きしめながら私は積極的に舌を絡めていく。

 熱い口内を感じながら優しくゆっくりとした口づけ。

「ちゅ、ぷ……ん、ぁ…」

 蘭先輩を強く引き寄せお互いの熱を感じ合いながら深く私たちは繋がりあう。

 それはこれまで私達がしてきたどんなキスとも違うような気がした。

(気持ち、が違うからかな)

 今まで蘭先輩としてきた時とは私の心の中が違う。

 蘭先輩を知ることで今までにない感情が心の裡からあふれて彼女への行為をこれまでとは別のものにさせている気がした。

「蘭、先輩……」

「鈴……」

 一度唇を離して見つめ合う。

 名前を読んだときの吐息が肌をくすぐってなんだか照れくさい。

 こんなことを気にするのも今回が初めて。

「ふぅ、ん。ちゅあ…んむぁ…あちゅ」

 見つめ合ってもう一度口づけをする。考えてじゃなくて自然と蘭先輩を求めるように身体が動く。

 今度のキスは蘭先輩からも求めてきて舌を絡み合わせながら蘭先輩も私のことを強く抱いた。

「…っ……ぷ、ぁ。はぁ、は、ぁ……」

 唇を離すと二人の間に銀の橋が架かる。

 それがゆっくりと二人の間に垂れていくのを見つめながら私は思う。

(どうしてこんなことをしているのだろう)

 それはこの行為に対する疑問ではあるけれど、やめる理由を探しているとかそういう後ろ向きの思考ではなくて、純粋な疑問。

 今は彼女を抱きしめてあげたい。この行為が蘭先輩を救うのかはわからなくても、少しでも心に寄り添えるのなら今はこうしていたい。

 それが好意なのか同情なのか、それ以外の感情なのか私にはわからない。

 私はただ本能に従い、

「ぁ……」

 か細い声を上げる彼女をベッドへと押し倒していく。

 服をはぎとり、私も同じように脱ぎ捨てる。

 ベッドに横たわる彼女の姿。

「っ……」

 私を見上げる目にはどこか弱気な感情が宿り、今まで私が見てきた彼女が求められて作ってきた姿とは違うことがわかる。

 ここにいるのは【お姉さま】に翻弄されたか弱い少女。体だけじゃなくて心も裸にした一人の少女。

 私の人生を変えた寮の支配者の姿はない。

「鈴ちゃん」

 その唇が私の名前を紡ぐ。心地よさを感じる響きに私ははいと頷き、求めに応えるために体を重ねた。

 今度は直に感じる肌の熱さ。

 数か月前には恐怖すら感じたその熱を今は心地よく思いながら私は三度口づけをすると、今度は軽く触れ合わせただけで、唇から徐々に舌を這わせ体を動かしていく。

「ん、レロ……ちゅ」

 唇から顎へなめとるように動かし、首筋にキスの痕をつける。

 それから再び体を下降させて鎖骨のくぼみに到達するとくすぐるように舐めていく

「ふぁ、ん……くぅ」

 蘭先輩が小さく喘ぐのがとても愛おしくて、その声をもっと聞きたいと逸る気持ちを抑えながらさらに体を動かしてなだらかな丘陵へと達し、その頂点のピンクのつぼみに到達した。

「ふぁ、あっ…んっ、鈴、ちゃん……」

 グミのような弾力を持つ乳首を口に含み舌でつつき、軽く吸い、噛み。乳輪を舌で撫でまわす。

「っあ、ぁ…っ……きも、ち……い」

 その声に調子に乗って空いている胸に指を沈みこませ丁寧な愛撫を加え、同じように口でも蘭先輩に甘い刺激を送り込む。

「っ、ぷぁ……は、ぁ。気持ちいい、ですか?」

「えぇ……とても。もっと、もっと頂戴」

「はい。いっぱいしてあげますね。だからもっと感じてください」

 そういえばこうなる前から蘭先輩は求めることが好きだった。支配者として振る舞っていたときですら、私にされることを悦んでいた気がする。

(……たぶん【お姉さま】の影響なんだろうな)

 愛してもらうことが蘭先輩には自然なことだった。でも、きっとこの寮ではそれは簡単に許されることじゃなくて、自分が【お姉さま】として振る舞っていた。

「ちゅ…んちゅあ、じゅちゅ……ちゅぅう。、ぷちゅ、ちゅく」

「ふぁ、ぁっ……ぁん。ふぁあ」

(愛しい……)

 彼女の甘い声が。

「ぁ、っん、鈴……ちゃ、んっ」

 彼女の柔らかな肌が。

「それ。それ…す、き……んぁ、っも、っと」

 とりつくろわないその心が。

「っ、ね…ふぁ、ん…キス、して……」

 乳首を舐りながら上目づかいに見上げる私へ、蕩けた表情でそれを求める。

(っ……ん)

 それがあまりに煽情的で、私まで感じてしまう。体の芯を熱くしながら私は蘭先輩の求めに応じて再びキスをする。

「ちゅ……んぁ、ぁちゅ…あ」

(んっ……むね、きもち、い)

 体を重ねながらのキスで、胸がこすりあうとそこから身体の中枢に快感が走る。

 お互いの肉に押され胸の形が変わるほどに蘭先輩へと体を傾ける。

「ぁんちゅ……ふっ…あ、っ……! ふぁ、んちゅ……んじゅる」

 息苦しさに唇を離すと首に手が回ってもう一度強引に求められ、離れずにキスさせられる。

 それからまたしばらく蕩けるように体を重ね合い、数分たってようやく唇を離した。

「ぁ……はあ…鈴、ちゃん」

(んっ……)

 疲労のこもった声で名前を呼ばれると心が揺れる。

 その理由を探す前に、とろんとした情欲のこもった瞳が私を欲情の海へと誘う。

「ね、こっちも」

 蘭先輩は私の手を取ると自分の中心へと導き、熱く湿った女の子の場所に指をあてた。

 ちゅく。

 少し触れるだけでも熱い蜜が溢れ蘭先輩の快感の大きさを私に知らせた。

「……して」

 言葉は多くいらない。

 今の私達にはそれだけで十分で、私は蘭先輩の欲求に従って指を動かし始めた。

 ちゅくちゅくと蘭先輩の快楽の源泉となったそこを丁寧にいじりながら、二本の指を進ませていく。

「ぅぁ…ん、はぁ……あっ、くぅん……んっ」

 収縮を繰り返す蘭先輩の中にいれた指が呑み込まれていき、根本近くまで入った指をクニクニと動かす。

 奥の少しくぼんでざらっとした場所を爪で弾くようにすると蘭先輩が甲高い声を上げる。

「ぁ、そ、こぉ……ふぁう、ん……それ、いぃ」

 幼いころから女性の指を知る蘭先輩の体の奥を指で刺激し、望むように快楽を与える。

 蘭先輩は悦楽に満ちた吐息を漏らしながら蕩けた顔で私の指の感触に酔いしれている。

「鈴ちゃん……っ、鈴ちゃん……っあぁあ、っ……ぁ」

 私の名前を呼び、求める蘭先輩。シーツをぎゅっと握り体の中を駆け巡る甘美なしびれに体を浮かしている。

(なんだろう……名前を呼ばれているのに)

 少しだけ空虚な感覚がする。

 彼女がどんな気持ちで私を呼んでいるのだろう。

 【お姉さま】を想っている? それとも一年さん? 

 私をちゃんと見てくれている? 

 もしかしたらこれは代替行為なの?

 そんな不安を持っていると

「鈴、ちゃん……?」

 動きを止めた私に蘭先輩は不思議そうに首を傾げ、私は様々なものをごまかすために

何でもないですよと言って、蘭先輩へと口づけた。

「っ、ぷぁ…っんぁ」

 同時に動かす指を激しくして心裡に生まれた感情を雲散させる。

(今は蘭先輩のことだけを考えよう)

 彼女の望む快感を与えることだけに集中しなくては。

 熱く火照った肌に二人の唾液がたれるのも構わず激しいキスをして、いれた指を蠢かし、さらに親指で女陰にも刺激を加える。

「んつっんぁ……あぁ! んぁ、ちゅ……っぷぁ。あふ、ぁ、っあ〜……っあん……ぁぁー」

 苦しくなったのか唇を離し、代わりに艶めかしい嬌声を上げて体を震わせる。

「き、ちゃあ…う……ぁ、あっぁぁー! あぁ」

 絶頂を間近にした蘭先輩は快楽の息吹を吐きながら、最後の一押しに耐えるように手と言わず足の指でまでシーツをぎゅっとする。

 早く一番の高みへと昇りつめたいという気持ちと今の達しそうな場所ずっと味わっていたいという合判した感情。

 私も知っているその感覚に私も体の芯を熱くしながらも精一杯に彼女への責めを続けて

「っ、あっ……ふぁ、んっ……あぁ、いっ……く……はぁ」

「ちゅ……チュ、……」

 限界を告げる声を耳にしながら私は肌に強く口づけを肌に痕を残しながら

「っあぁ、っああーーぁぁっ」

 蘭先輩の絶頂の喘ぎを聞くのだった。

 

10−5/10ー7

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