その幼い体をベッドへと寝かせ、散らばる髪を優しく撫でてから私もベッドへと上がってそのまま体を重ねる。

 すでに衣服はベッドの間笑いに脱ぎ散らかされ、直に触れ合う体が暖かい。

「鈴さん……」

 私を呼ぶ冬海ちゃんの声は細く、目の前にいるのに寂し気で同情を誘った。

「……ここにいるよ」

 肩を抱き、私の方へ体を引き寄せ私はそれを囁く。

「……………」

 私を見つめる瞳。そこにいつもの狂気はなく、代わりに見えるのは迷子の少女のような幼い瞳。

(迷子なのかもしれない……)

 私のせいで冬海ちゃんは自分のいる場所を見失った。私だけが暗闇の中ですがる光だったのに、一度離れてしまった。

 そして、戻ってきた私を離すまいとする可憐な、けれど切ない表情。

「んっ……」

 迷子の少女に口づけをする。私たちの間じゃむしろ珍しくなった唇を軽く触れ合わせるだけのキス。

 どれだけ安心を与えられているかはわからない。もしかしたら、このキスも含めて冬海ちゃんの中では嬉しい以上に不安を膨らませる行為なのかもしれない。

「鈴、さん……も、っと……もっとしてください」

 潤んだ瞳で冬海ちゃんはそれを求めた。そこには確かに熱を感じる。これからすることに対する期待を抱かせる熱情が。

(……考えても今は仕方ない、か)

 ベッドの上でそんな無粋なことを聞くことなんてできるわけはない。

 少なくても今の私がしなきゃいけないのは精一杯に彼女を愛してあげることだけだ。

「……可愛いよ、冬海ちゃん」

 声に慈しみを込めてそれを伝えると彼女の体に舌を這わせる。

 頬から、顎へ。顎から首筋、首元へ。

「んちゅ……ちゅ……ちゅ」

 音を立てながら鎖骨にキスをしていくと、少し緊張が解けたのか冬海ちゃんは「あ……ん」なんて甘い声を出して、体に赤みが帯びていく。

 そして、舌がなだらかなふくらみに達すると迷わず頂点の突起に吸い付いて、弾力のあるそれを舐る。

 合わせてもう片方の乳房には左手で覆うようにして手の平を押し付けて上下左右にこする。

「ふあ……っ、あ、ぁ……ん」

 いつものように甘えるような声を出して私からもたらさせる感覚に酔う冬海ちゃん。

「あむ、ちゅ……じゅちゅ…ぁ……ぷは、レロ」

「鈴さん……すず、さん……ふああ、ぁん。鈴、さん……」

 いつもよりも名前を呼ばれている気がする。小さな手が背中に触れ、もっととせがむように力を込めて体を押し付けさせる。

 それに応えるように固く主張をする乳首をコリコリと指で優しく、時に激しくこすり、つまみ、舌で舐め、時に吸い、あらゆる方法で快感を与えていく。

「き、もち、い……です。鈴さん……すずさん」

「そっか、それじゃ」

 一度顔を離すと冬海ちゃんを上目遣いに見て再び肌を舌でなぞっていく。

 どこに向かうか経験で知っている冬海ちゃんはこれまで何度もされたのにそれでも恥ずかしいのか反射的に身を固くする冬海ちゃんの太ももに手をかけて

「脚、広げてね」

 太ももに力を入れると抵抗することもなく冬海ちゃんは足を開いて私はそこに顔を近づけた。

 香り立つ女の子の匂いのするそこはすでに少し濡れていて、私の愛撫を待っていた。

「こっちもしてあげるね」

 再び上目遣いをして、冬海ちゃんの花びらに口づける。

「ふぁ……!」

 陰唇に舌を押し付け、何度かそれを繰り返してから指でそれを開くとピンク色のそこに舌をねじ込む。

 ちゅ…ちゅ。じゅちゅ。

 そんな風にあえて音を立てては見せるけれどあくまで優しく、いつもより丁寧に舌を出し入れする。

「ぁ、ぁ……ん、ぅぁ……すず、さん……なんか、いつもと……んんぁ」

「……同じだよ。いつもとおんなじように気持ちよくしてあげる。だから、いっぱい感じていいの」

 同じじゃない。というか、冬海ちゃんと今のようになってからは半ば義務のようで感情のこもった行為じゃなかった。

 ただ、今は冬海ちゃんが真に臨むものかはわからないけれど、気持ちを込めた愛撫をしてるって自覚がある。

「っはい……んぁ……あぁ。すごい、です……気持ちぃ……、もっと……もっとして」

 私の言葉がきっかけになったのかあられもない声をあげる冬海ちゃん。

 そのことが嬉しい。

 私の気持ちが少しは伝わっているということだから。

 機械的な行為よりもこうして感情を込めたエッチは違う。

 こんなところで思いだしていいことじゃないけれど、昨日蘭先輩とした時みたいに、体だけの快楽じゃなくて心を満たしたエッチの方がずっと快感が強い。

(今はまだ冬海ちゃんの気持ちには応えられていないけれど)

 それでも、今彼女を愛したいという気持ちは本物だから。

「冬海ちゃん……冬海ちゃん…んっ、ちゅぅう。じゅちゅ」

 好きだとは口にしない代わりに名前を呼んで舌の動きを激しくする。

「ふあ、ぁつ。そ、れぇ……っああ。や……つよ…あん」

 舌に加えて指で包皮をめくり固くなった女の子の豆を優しく指でしごく。

 合わせる刺激が強すぎるのか時折腰を浮き上がらせて、愛撫が少し難しくなるけれどそれでも休むことなく冬海ちゃんを攻め続ける。

「ふぁ……ぁすずさん……すず、さ、ん……ふあぁ」

 嬌声には確かに艶めいたものを感じるのに、どこか悲痛でもある冬海ちゃんの声に今はまだ何も反応することはなく、今は愛することだけに集中していく私。

「いくらでもしてあげるから、好きな時にイッていいよ。今日は冬海ちゃんが満足するまで何回でもしてあげるから」

 三度見上げて、今度ははっきりと見つめ合う。

「すずさん……」

 私の態度に何か心の変化を知った冬海ちゃんだけど、それ以上にその瞳は【私】を求めていた。

(……うん、今はそれでもいいよ)

 ねっとりと溢れる蜜を舐めとり嚥下しながら私は舌を縦横に動かす。前後に、左右に舌先を固くし、冬海ちゃんを感じる部分を何度も何度も執拗に刺激する。

「んぁ…あぁ、っ……」

 その声を聞いていると私も体の奥が熱くなっていく。

 冬海ちゃんも限界が近いのかシーツを握りしめ腰を浮かせる。これから向かう先にある快感の高まりに期待と少しの不安。

「ひあ……ん、あぁあ……」

 舌をリズミカルに攻め、クリトリスを何度も薙ぐ。

「ふ……っ、んぁあ、っ、……き、ます……ぁぁあ」

「んぷ、……じゅ…ちゅちゅ。いい……」

「ふあぁぁ、っ……ん。あぁぁぁつあああ」

 私がいいよって言い切る前に高く腰が浮いたからと思うとそのまま体をそり、早くも絶頂に達する冬海ちゃん。

「っは、ぁ……はぁ……あ」

 エクスタシーに達した冬海ちゃんに体を離し、ベッドに腰を下ろすとその姿を見つめてる。

「すず、さん……」

 少しすると私を求める声に視線を交わす。

 その瞳は熱情に潤んでいて言葉にしなくても冬海ちゃんの求めるものをわからせてくれて、

「うん」

 と再び体を重ねていった。

 

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