「んっあ、ぁ……ぁ……っ」

 首筋に舌を這わせる。

「ぁ、そ、れぇ……っぁ」

 豊満な胸に指を沈める。

「はあ…は、ぁ……鈴、ちゃっ……ぁんっ……ふぁ」

 絶え間なく喘ぎをこぼす口に指を入れて塞ぐ。

「ふ、ふふふ。ほら、瑞奈先輩見えますか? 今自分がどうなっているか」

 耳元で挑発的に囁いて羞恥を煽る。

「っ……ん……く」

「ほら、しっかり見てくださいよ」

 目を背けようとする瑞奈先輩の顎をグイッと引っ張り正面を向かせた。

「ぁ、うぅぅ」

 電気の消えていない部屋。私たちの正面には姿見の鏡。

 そこに映るのは、

 一糸まとわぬ姿のままベッドで体を絡ませる私たち。

 正確に言うのなら、私が瑞奈先輩を羽交い絞めにして責めている姿。

 背後から胸に手を当てて、肩や首、耳を口でして、先輩の愛液に濡れた指を口に突っ込んでいる。

「ふふ、どうですか? 私にこんなことされるなんて考えてもなかったんでしょう?」

 そして、耳には先輩の矜持をくすぐる言葉。

「ぁん……っぁ」

 羞恥心というのか、自尊心というのか、そういうのが邪魔をしているのか素直な気持ちを吐き出してはくれない。

 瑞奈先輩は私にするつもりでいた。それは支配欲とか征服欲とかそういうものからきていたのかもしれない。

 そんな相手から一方的に責められるなんて多分屈辱的なものだと思う。

「もっと気持ち良くしてあげたら素直に応えてくれますか?」

 その実感が私を高みに上らせる。体には直接刺激を受けていないのに、私も興奮していて、背中に当てている乳首は固くなりふとももにとろとろと熱い液体が伝っている。

「ほらぁ……ちゃんと言ってくれないとイかせてあげませんよ。ほら」

「っあぁ、ぁっぁあ」

 口に当てていて手を股間に持っていき迷わずに指を膣内に突き入れる。すでに十二分に受け入れる準備の整っていたそこは二本の指がすんなりを奥へと入っていく。

「こっちの方は素直ですね。私の指が気持ちいいって言ってくれてますよ」

 指を開きながらじゅぶじゅぶと卑猥な音を立てて快感を与えていく。反射的に閉じ気味だった足が徐々に開いて私の手技を求める。

「そう……正直になるのが一番ですよ。先輩」

 これは個人的な感想だけど、体を気持ちよくするのだけじゃだめだって思う。相手を支配するには心を操作しないとだめ。それが肉体的な快感と連動させられればなおさら都合がいい。

「ぁ、すず、ちゃん………どうして、こんな………」

 振り返りながらはぁはぁと息を漏らし濡れた瞳を私に向ける。

(あ……いい)

 その瞳に見つめられた瞬間に背筋に走る電撃。

「貴女たちが教えてくれたんですよ、女の子が気持ちよくなる方法を」

 きゅっと乳首をひねる。

「あっ……」

「もっとも、先輩が嫌だっていうならこれ以上はしないですけど」

 そんなつもりはない。どう答えたってこのまま続けさせてもらう。例えこの人が許し乞うたところで。

「ぁ……………」

「ほら、どうします? もう少しでイクところですよね。やめていいんですか?」

「それは……」

「先輩だからなんて関係ないですよ。素直になってくれれば私が先輩のことをいっぱい気持ち良くしてあげる……ね、先輩」

 本音、ううん私の欲しい方向へ思考を引き出すための偽りの優しさ。

「っ……」

「恥ずかしがらないで先輩。私は先輩のこと気持ち良くしてあげたいだけなんです。ほら……先輩の本当の気持ちを教えて」

 ゆっくりと指を出し入れする。奥へと淹れて、今度は抜ける寸前までもっていく焦らすように快感の波をもたらしていく。

「……あぁっああ、っす、ずちゃん……ぁっ。そ、れ……もっと……おねがい……」

「……えぇ」

 満足な答えではないけど今はまだこれでいい。少しずつ私の好みに染めていけばいいのだから。

「気持ち良くしてあげます、先輩」

「ぁん!」

 首筋に噛みつきながら私は指の動きを激しくした。角度を変えながら何度も何度も指で膣内を満たし、もう片方を口に突っ込んで指を舐めさせる。

「ぁちゅ……ぱ、…ぁあぁつ……っあすず、ちゃん……ふぁ、きもち……いいぁああ」

 喘ぎをあげるたび、言葉を発するたび熱い舌が指に当たりその生の熱が伝播して私の体をも熱くさせていく。

「んぅ…わたしも……いい、ですよ」

「ぁあ、っひぁ……も、っと……気持ち、よく……」

「ふ、ふふ……気もよく、じゃわからないですよ。どうして欲しいんですか?」

「ぁっ……ぁつ……ぁあ」

 ぐちゅ…じゅぷ、ぢゅちゅ……

 上と下両方の口から卑猥な音が止まらない。けれど激しくはなりすぎないように気を付ける。

「……っ……イカ、せて……おねがい……鈴ちゃん…ぁっ」

 良く言えましたって言葉にする代わりに指を激しくする。

(……………)

 そこに私もまた愉悦を感じて体が反応した。お腹の奥がキュンと疼き、ふとももどころかベッドにまで愛液が垂れていく。

「えぇ…素直になれた…ご褒美です」

 二重の意味で渇きを満たした私はそう言ってラストスパートをかけた。

「あっ…ぁ、ぁつぁっ、ふあ、っ…あぁ、っあぁ……っ」

「ほら、イってください。私の手で気持ち良くなってください」

「え、ぇ……ぇえ……鈴ちゃん……鈴ちゃぁ、ん……っぁっああ」

 熱くなりすぎた体が私の腕の中で震える。正面に見える鏡に彼女の乱れる姿が映っている。

 汗を振り乱し、赤く火照った体をくねらせ、後輩の手管に籠絡しようとしている先輩。

(……………)

 これが私の求めたことではないのは誰より自分が理解しているそれでも

「イっく……ぁつぁ、ぁっつふああ、ぁっ…ああ…!!」

 私をおもちゃにしようとしていた人が私の腕の中で絶頂する姿に心の飢えを満たした。

「……あ、ぁ……はぁあっ……すず、ちゃん」

「……だらしない顔、よだれが垂れてますよ。んっ」

「ふ、あ……」

 余韻に浸っている瑞奈先輩の口元に舌を這わせるとそのまま唇を奪った。

「……ねぇ、先輩」

 そのまま押し倒して

「う、ん……」

「今度は……私にも、ね」

 先輩の顔を跨ぎ、蜜を滴らせながらそう言った。

 

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